伝説の白き魔女を巡るファンタジー、そしてサスペンス!

審問官見習いのアルヴィンは、白き魔女を追っている。彼には魔女と会わねばならない理由があるが、その目的を遂げるためには、上級審問官ベラナの信頼を勝ち取らなければならない。ベラナから下された課題は困難だった。先輩諸氏が半年かかっても解決できなかった事件、すなわち火の魔女の駆逐を、わずか一週間で果たせというのだ……。

物語冒頭から逆境に放り込まれる主人公だが、これをものともしない強さが彼にはある。老練なベラナと生意気なアルヴィンのやり取りには読者も笑みを浮かべるだろう。
火の魔女の疑いをかけられているのは、診療所のクリスティ-という医師だった。アルヴィンは、彼女と秘密の関係を結ぶ。ここから先は、ぜひご自身の目で。

アルヴィンとクリスティ-の生い立ち、教会を巡る陰謀、原初の魔女にまつわる伝承。この作品を彩るのは異世界幻想の精髄だ……と思って油断していたら目ん玉が飛び出ること請け合い!
数話を読めば誰にでもわかる。『白き魔女と黄金の林檎』の本性は、ファンタジー世界を舞台としたサスペンスであるということが。
ファンタジーには一定のテンプレートがあり、読者は何とはなしに展開を想像しながら読み進める。作家は、そのような読者の想定を少しずつ裏切りながら筆を進める。予想の裏を取られ、また取られ、いつの間にか当初の想像から遥かにかけ離れた場面に至る快感を、サスペンスの読者ならば知っていることだろう。その極致こそがこの作品だ。
それにしても、ファンタジーとサスペンスがここまで幸福に結合した例は、他にあっただろうか?
物語のダイナミズムは章単位ではなく一話単位で訪れる。この点はWEB連載の醍醐味かつ模範であるとも言えるかもしれない。WEB小説戦国時代ともいえる現在、長尾景虎は誰かと問われたら、わたしはこの作品を推したい。

つまり、格好良いですよ?
眠れない夜などに一気読みしたら、更に眠れなくなります。

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