深夜の散歩で間違った丑の刻参りをする不審者と出会った受験生の主人公は「君も呪いたいことくらいあるだろう?」と何故か自分も呪いに参加することに?呪いが題材の話なのに、どこか爽やかで青春の匂いが漂う短編作品です。最後のオチも面白く、作品ひとつしっかり読ませられました。何故か清々しい、呪いのお話を楽しんで。
受験勉強に根を詰めていた少年が、眠れぬ夜の気分転換に散歩に繰り出す。深夜、街並みは月明かりの海に沈み、街路樹の密やかな呼吸が少年の頬を湿らせたことだろう。それは一時の安らぎをもたらし、少年を変わらぬ日常へと送り返したかもしれない。が、しかし、彼が出会ったのは藁人形を握りしめた白い着物の女だった。ありふれた日々に迷い出てきたホラーは、心の凝りを解きほぐしてくれるような愉しい出来事でもありえるのでしょう。呪い"かもしれない"という絶妙な現実感/非現実感が味わい深い作品です。
草木も眠る丑三つ時。 昨今は街灯なんかもあって、夜の散歩に出る人もいなくはないかと思いますが、あまり夜中にウロウロする用件ってないですよね。 いるとすれば、夜じゃないと出来ない事をする人ぐらいで。 そんな深夜に主人公が出会ったのは、タイトルで想像がつくあの儀式の人! おどろおどろしくなりがちな呪いを、コメディなエピソードにまとめた一作です。こんなモチーフを扱っているのに、笑顔で読めます。