静まり返った夜の町に響き渡るアレ

受験勉強に根を詰めていた少年が、眠れぬ夜の気分転換に散歩に繰り出す。深夜、街並みは月明かりの海に沈み、街路樹の密やかな呼吸が少年の頬を湿らせたことだろう。それは一時の安らぎをもたらし、少年を変わらぬ日常へと送り返したかもしれない。

が、しかし、

彼が出会ったのは藁人形を握りしめた白い着物の女だった。

ありふれた日々に迷い出てきたホラーは、心の凝りを解きほぐしてくれるような愉しい出来事でもありえるのでしょう。呪い"かもしれない"という絶妙な現実感/非現実感が味わい深い作品です。