アフタヌーンティーにビターチョコレートを合わせたようなハッピーエンド

題名から受ける印象、作中のセリフや登場人物の周りにある小物など、90年代にあった「あの」とつけたくなるアニメを思い出させますが、決してこれは二番煎じではなく、れっきとしたオリジナルです。

どこか不自由さを抱えている印象のある毎回の主人公の元へ現れるセールスマンは、ウソは決していわないし、人の揚げ足を取る事もない男。

依頼人の抱える不自由さは、あのアニメにある心の隙間などではなく、心では泣きたがっているのに感情や理性が邪魔をして泣けない事と感じられます。

笑いは大抵の人が我慢しない、怒りは割と多くの人が我慢しきれない中、泣く事だけは案外、簡単に我慢できてしまうから、かなりの人が大なり小なり我慢してしまっているように思える読後感です。

決して「めでたしめでたし」などとつけられない結末ではあるけれど、皆、どうしようもない不幸になって終わりましたとか、それを主人公が負っていた負債に対して過請求してるだろうといいたくなるような結末とかは、決してないものばかり。

私の中に残ったのは、ひとこと紹介の通り、アフタヌーンティーの良い香りの中、ビターチョコレートを口に含んだような印象です。

苦いけどチョコレート。

誰が見ても完璧な幸せてないけど、常にハッピーエンド。

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