霧の町ロンデル怪盗事件簿　～子猫の少年探偵、怪盗殺人事件の真相を探る～

霧の町ロンデルを騒がす一つの存在があった。
怪盗ミストヴァルトーー百年以上前から帝国を騒がす謎の怪人は、今日も今日とて華麗に盗みを働く。

盗み出すものはすべて、魔法の力を持ったアーティファクトばかり。
警官たちを蹴散らして、本日も盗みを働くはずだったのだが――。

『怪盗ミストヴァルトは人殺し!?』
そんな新聞記事がロンデルを騒がせる。

少年探偵アーサーは、事件の真実を探るため一人行動を開始する――

「怪盗は、誰も傷つけてはいけないのさ。それが唯一の誇りなんだ」

光あるところに影はある。それならば僕は甘んじて影となろう。
ただ一度のこの命。せめて君を浮かび上がらせる影となれるよう。
僕は霧の都の影になる。

　――ウィーンサー・D・クロウサー著『怪盗の決意』より。