概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!お聞かせ願おうか。令和時代の文学問答を!
この作品を読んで、一番に想起されたのはサルトル『嘔吐』だ。実存主義を論じる金字塔の1つだが、同時に文学作品としても名が高い。本作品もまた、『嘔吐』に勝るとも劣らない、文学と哲学が渾然一体となった大著の1つであろう。
もちろん、登場する文学的表現は息を飲むものばかりである。しかし同時に、本作最大の醍醐味は、文学に対する著者の考えが、登場人物の問答を通じて巧みに論じられる点にある。異なる思想を持つ者による文学問答――これは、中江兆民『三酔人経倫問答』に通じる面白さがある。物書きのワタクシ、ネオニヒリストのオイル、そして、論敵であるハニワらが繰り広げる問答に注目だ!
著者の高い文学的センスと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたが手に取るのは、茶色く古びた古書か?いいえ、最新鋭のネット機器。
この文章を形容する語彙力を、完璧に持ち合わせていないことが悔しい。
一書き手として、尊敬と嫉妬の的としてしまうような作品である。
まさしく純文学の美しく淑やかな言葉選びは、小説を読む愉しさをこれでもかと体言している。
そして、驚くべきはフィクションとノンフィクションの狭間である作風。
著者がどこまでを体験し、どのように解釈し、どのように味付けをされているのか。
そのパンパンに膨れ上がった脳みそを垣間見たかと思えば、やっぱり着いてけないや。とすら感じさせる引力とカリスマ性、読者への提議が絶妙。
飴と鞭といったイメージか。
そして最新話ははっきり言って異常。
物書き、芸術に対する圧…続きを読む - ★★★ Excellent!!!喜びに打ち震えろ。文学の上質さが、ここにはある。
コーヒーとミルクだ。
私はこの小説を読了ったとき、かき混ぜられて一つに溶けていくブレンドコーヒーのことを想った。
言うまでもないが、コーヒーとミルクは当然比喩だ。
それは、古さと新しさのほどよい融和を意味している。
どういうことか?
それは後述するとしよう。
この作品は、字書きの主人公やその周囲の人間たちをとおして、現代人の憂鬱さや、字書きとしての思想や本質に切り込んでいる。しかも、ここで書かれる半分は作者の体験が元になっているというから、そういう意味で非常に文学的な作品である。
まだ二話で、話の展開がどうなっていくのかはこれからの楽しみだが、現段階でも豊富な語彙の楽しさが光っており…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小説を書く者の本質に迫る
『地方都市の主要駅前のささやかな華やぎからは少し外れた場末の飲み屋通りの薄暗い路上を、滔滔と灯った店店が躁鬱めいた様子で疎に照らしていた。』
たった1文で、ここまで見事な雰囲気作りや情景描写をできる作家さんが、どれほどいるでしょうか。稀な才能を感じます。
舞台は令和でありながら、昭和を想起させるパラレルワールド。それだけでも魅力的なのですが、さらに主人公たちの会話が矛盾や欺瞞に満ちており、それがこの小説をより難解に、また高尚なものにしています。
小説書きの心を「これでもか」というほど抉ってくる本作。しかし、そこから逃げずに向き合うことで、見えてくる世界がある。私にはそう思えます。
小…続きを読む