お聞かせ願おうか。令和時代の文学問答を!
- ★★★ Excellent!!!
この作品を読んで、一番に想起されたのはサルトル『嘔吐』だ。実存主義を論じる金字塔の1つだが、同時に文学作品としても名が高い。本作品もまた、『嘔吐』に勝るとも劣らない、文学と哲学が渾然一体となった大著の1つであろう。
もちろん、登場する文学的表現は息を飲むものばかりである。しかし同時に、本作最大の醍醐味は、文学に対する著者の考えが、登場人物の問答を通じて巧みに論じられる点にある。異なる思想を持つ者による文学問答――これは、中江兆民『三酔人経倫問答』に通じる面白さがある。物書きのワタクシ、ネオニヒリストのオイル、そして、論敵であるハニワらが繰り広げる問答に注目だ!
著者の高い文学的センスと哲学的視野によって編まれた令和時代の文学問答。この「恥晒し」が提起するものは、物書き達に最も単純だが、それでいて最も深遠な問題を突きつける。
なぜ、あなたは小説を書きますか?