概要
ライフル×黒髪長髪男性のボーイズラブです
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!黒い森に逃げこんだ愛しい二人の、小さな物語
それは、澄み、かつ澱んだ森の匂い。
それは、現代が顔を覗かせる頃の戦争。
それは、静かな比喩を伴った饒舌。
それは、柔らかなレイの声。
それは、硬質なアーレントの声。
それは、胸を締め付けるような幸せな結末。
とても整っていて、かつ密度の高い作品です。
どうにもならない時代に迷子になった二人に安住の地はあるのでしょうか?
世界が彼らから奪うことができなかったものはあるのでしょうか?
もう二度と、幸運はないのでしょうか?
この物語では鉄の銃身が語るのです。
それを描くのはまるで童話のような、子供のように澄んだ作者の瞳。
この物語で語る、言葉を持たないはずのない…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あまりにも凄惨な戦場の光景
自律した意思を持つ突撃小銃と、その彼と共に育った青年が、徴兵され戦地へと赴くお話。
無機物と人間のボーイズラブ、という時点でもうモリモリ興味を惹かれてしまうずるい作品です。
BL、と言っても決して恋愛ものではなく、つまりは二者間の関係性のお話。
具体的に説明するのは難しいのですが、上記の概略やキャッチコピーから想像されるであろう「欲しいもの」が、本当にみっちり詰まっていてもう大満足でした。
作中で描かれる戦場の光景が好きです。
とにかく壮絶! 一兵卒の行動をミクロに追った物語であり、戦の凄惨さや地獄っぷりを存分に浴びせてくれるところが最高でした。
人物の関係性にのみ集中でき…続きを読む - ★★★ Excellent!!!Rifle is beautiful
一丁の銃が見てきた一人の男の生涯が銃によって絆と呼ばれる物語。戦地に赴く兵士の悲惨さはかつてまだ男があどけなかった頃の思い出その彩りが際立つほどに灰色だ。色の取り戻し方がそれしかなくてピンクや赤で必死に染められた惨状からは鉄と煙の匂いが立ち込める。もう戻りはしないあの日を背に日に日に狂っていく精神が男を蝕む。
親友は男の命をどうにか出来たという。彼の意思によって命を留めるという意味で救えたと。しかしそうしなかった。僕はこれが親友たる一丁の銃の精一杯の強がりに思えた。そうして見ると、所詮は手足も臓器もない無機質としての生。一度ばらされても再会できてしまうような奇跡としての生は引き換えとして自ら…続きを読む