Rifle is beautiful

一丁の銃が見てきた一人の男の生涯が銃によって絆と呼ばれる物語。戦地に赴く兵士の悲惨さはかつてまだ男があどけなかった頃の思い出その彩りが際立つほどに灰色だ。色の取り戻し方がそれしかなくてピンクや赤で必死に染められた惨状からは鉄と煙の匂いが立ち込める。もう戻りはしないあの日を背に日に日に狂っていく精神が男を蝕む。
親友は男の命をどうにか出来たという。彼の意思によって命を留めるという意味で救えたと。しかしそうしなかった。僕はこれが親友たる一丁の銃の精一杯の強がりに思えた。そうして見ると、所詮は手足も臓器もない無機質としての生。一度ばらされても再会できてしまうような奇跡としての生は引き換えとして自らの意思を優先できない。男の意思に寄り添うというかは任せる他なかった寂しさが痛切にきこえてくるような感覚があった。
それでも二人は共にあった。実質生命でなくなった男はどこかで親友の立場にさらに近づいたのかもしれない。それを示すかのように自然に飲まれるように風景は色を取り戻す。