あまりにも凄惨な戦場の光景

 自律した意思を持つ突撃小銃と、その彼と共に育った青年が、徴兵され戦地へと赴くお話。

 無機物と人間のボーイズラブ、という時点でもうモリモリ興味を惹かれてしまうずるい作品です。
 BL、と言っても決して恋愛ものではなく、つまりは二者間の関係性のお話。
 具体的に説明するのは難しいのですが、上記の概略やキャッチコピーから想像されるであろう「欲しいもの」が、本当にみっちり詰まっていてもう大満足でした。

 作中で描かれる戦場の光景が好きです。
 とにかく壮絶! 一兵卒の行動をミクロに追った物語であり、戦の凄惨さや地獄っぷりを存分に浴びせてくれるところが最高でした。
 人物の関係性にのみ集中できる、というのもそうなのですけれど、「戦局を俯瞰的に見通せないこと」そのものが、主人公らの状況をそのまま体験させてくれるような感覚。

 なにより好きなのが、その地獄を共に見てきた相棒同士だからこそ成り立つ関係であること。
 とても容易には踏み込めない「このふたりだからこそ」を味わわせてくれる、濃厚な人間(※無機物を含む)のドラマがたまらない作品でした。