恐るべき予言を中心に思惑が絡み合う

まず良い意味で最近のWEB小説らしくない文体描写の作品で、商業作品や1990年代ライトノベルを読まれていた方なら読みやすい作品です。物語の中心は破滅を予感させる予言を背負う一人の少女で、彼女を幽閉する勢力、予言の成就を阻止しようとする勢力、彼女を一人の人間として扱い助けたい勢力などの思惑が入り乱れます。特筆すべきは同じ勢力内でも個人の思惑や葛藤などに差があり各キャラクターが立っている点で、良質な群像劇になっていると思います。話の大きな見せ場ではないのですが、自分は少女が手紙を燃やす某シーンで胸が詰まる思いでした。きっと読者それぞれの琴線に触れる部分がある、そんな硬派なファンタジー作品です。
※ネタバレなしレビューにしていますが、もし↑のワンシーンへの言及がNGのようでしたらご指摘ください

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