第17話 弁柄




 お元気ですか。

 あなたのご両親であり、元ナンバーワンヒーローズは。

 年々力が強まっているとの事ですので、現ナンバーワンヒーローであるあなたは元よりご両親にもぜひ悪様になってもらえたら嬉しいです。


 捕縛されているにも拘らず、緊張はしているのだろうが、恐怖心は抱いているようには見えない悪様の言葉を一笑に付すより先に、現ナンバーワンヒーローは即座に理解して、そして恥じた。




 笑って両親を助けられるような強いヒーローになりたい。

 笑止千万。

 人質になった両親を見た時。

 憤りや情けなさを感じると同時に、抱かなかったか。

 安堵を。

 両親が人質だったら、大丈夫だとの謎の安心感を。

 誰も怪我をせずに済むと。

 僅かでも。


 寄りかかっていたのだ。

 両親に。

 大いに心身を傾けていたのだ。

 元ナンバーワンヒーローズに甘え切っていたのだ。


 恥以外の何者でもない。


 出て行こう。

 即判断は導き出せた。

 両親が居ないここから。










「母さん。父さん。私。地球から出て行くよ」




















(2022.12.11)


 

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