第15話 二藍
きょ。
今日こそは。
言うの。
言うのよ。
そう決心したでしょ。
決心したから地球に来たでしょ。
ナンバーワンヒーローが居るこの日本に来たでしょ。
言うの言うのよ。
ああだめだめ。
怖気づいちゃダメ。
母星に逃げ帰らないように見張り役として補佐君も連れて来たでしょ。
補佐君も逃げんなよって睨みつけて来ているでしょ。
だからほら悪様。
勇気を出して。
無表情のナンバーワンヒーローに言うの。
だってナンバーワンヒーローならやれるから。
いいえ。
ナンバーワンヒーローにしかできないもの。
両親だって反対しているけど、表面上だけだって知っているんだから。
本心は期待してるって知っているんだから。
そうよ。
あたしは。
あたしの。
「あたしの代わりに悪様になって数多の星を破壊してくださいな!!!」
「断る」
流石はナンバーワンヒーローだわ。
決断が早い。
断られたけど、挫けない。
だって一回目だもの。
一回目。
一回目で色よい返事をもらえるだなんて、そんな調子のいい事があるわけないの。
だから。
挫けない。挫けない。
くじけ、
「びえ~~~~~ん!!!」
「あ、おい。てめこら悪様逃げんなや!!!」
「………何なんだ」
「お~い。師匠!!!悪様来たって!!!俺も一緒に暴れさせろ!!!」
大泣きして逃げる悪様と。
怒りながら悪様を追いかける悪の手先と。
満面の笑みで追いかけて来た弟子を見回して。
ナンバーワンヒーローは甘い物が食べたくなった。
とてつもなく。
(2022.12.1)
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