第12話 萱草




 地球をぶっ壊してしまうんじゃないか。


 ナンバーワンヒーローである私に対する嫉み妬みなのか。

 ただの冗談なのか。

 本気で心配しているのか。


 私は三番目を選ぶ。

 力が弱くなるばかりか、年々増して操作が難しくなってきた。

 補修者の存在が不可欠な程に。

 けれど、師匠にも両親にも相談できなかった。

 私はナンバーワンヒーローなのだ。

 そうそう弱音など、悩みなど吐いてはならないのだ。

 ぐっと、口を結んで、腹の底に収めようとして、何とか己の力で解決しようとしたが潮時かもしれない。


 本気で地球を壊してしまうかもしれない。

 巨大隕石が人知れず堕ちてきたのかと危惧するくらい大きな穴ができてしまった時に悟った。

 同時に。

 あの少年も標的にされてしまったのだと。

 あの少年が人質に取られた時には両親が駆けつけてしまうのだと。






 弟子にしてください。

 そう、少年に願い出された時。

 弟子にして力が付いたら、悪の手先よろしく派手に暴れ回るんだろうな。

 と、考え。

 また。

 確率はとてつもなく低いだろうが、ヒーローになってくれないかなとも考えた。

 両親専用の。











(2022.11.29)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る