第13話 山葵
ナンバーワンヒーローは後継者育成もヒーローの務めだと思い、またこれも縁かと了承したのち、本部から連絡があったので戻ると。
クビを宣告された。
理由は公共の財産である自然物を破壊する頻度と規模が大き過ぎる為。
納得。
これからは野良のヒーローになるのか。
支給された退職金と貯金をちょまちょま使いながら、報奨金で稼いでいけば何とか。
いや待て。
弟子にしたばかりの少年のお金も工面しなければ。
少年がヒーローになれる力を得れば、自動的にヒーロー本部への就職は確約され金銭面の心配はなくなるが、それまでは私が稼がなければならない。
まさか両親に泣きつくわけにもいかないし。
何処かの富豪のボディーガードになるか。
実力は折り紙付きだし。
ただ破壊した時の賠償金が。
富豪だし払ってくれるか。
ただ、ヒーローだから大目に見てもらえていた節があるし。
ボディーガードはどうなんだろうか。
破壊しても仕方がないと甘く見てもらえるだろうか。
いや待てよ。
そもそも少年はヒーローになるとは限らないのだ。
別段、ヒーローにならずとも、修行して身に着いた能力を生かさない道を進んだとしても、己の分を稼いでくれるようになればいいのだが。
このまま悪の手先としての道を進んだとしたらどうなる。
暴れ回って色々破壊してしまったとしたら。
弟子にしてしまったのだ。
師匠として、私が賠償金を払わなければならないだろう。
野良のヒーローになってしまった私が、だ。
弟子解消するかけれど一度は了承したわけだし。
うんうんうんうん。
腕を組んで項垂れて考えに考えていた。
夢だった。
ほっと、安堵の吐息を出したのも束の間。
本部から連絡があった。
悪様襲来の。
(2022.11.29)
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