【書籍化決定🎋✨】ファンキー竹取物語
あをにまる
『ファンキー竹取物語』(原作:『竹取物語』)
ガチの昔。竹取の
野山に混じりて竹をバチクソ取りつつ、メルカリとかで売りけり。
ある日、スーパー玉出ばりに光るヤベェ竹なむ一筋ありける。
翁、パネェと思ひて中を見るに、タピオカ並みの小人ぴえんしてゐたり。マジ卍。 もはや草超えて竹生える。
バイブスあげぽよの翁言ふやう、
「山でエンカウントしつる竹、ガチ臨界反応状態。写メ撮りてSNSにアプれば、バズりぬべし。さればワンチャン持ち帰らむ」
とて、ドルチェ&ガッパーナの籠に入れ、家へと持ち帰りたり。
妻の
然らば、バズりける事この上なし。
この姫養ふほどに、はや三月ほどで美しきJKへ育ちぬ。
翁調子乗りて、YouTubeアカウント開設せり。
チャンネル名をば「なよ竹のかぐや姫」とノリで決めつ。
嫗、SNOWで姫の顔面盛りて、動画上げつれば、
かくて翁、広告収入を得、やうやう豊かになりゆく。
されば
「
といへば、かぐや姫答へるやう、
「あな、かしかまし。運営に報告せむ」
とて、ブロックせり。
ブロられたる帝、別アカを作り給ひて、再びDMを送れど、かぐや姫、いらへず。
その後も帝、自作ポエムを幾度も送り給へど、かぐや姫、塩対応にて、
「げにキモし。かやうなチャラ男、マジ無理なれば、スクショ晒さむ」
とついぞ思ひて、Twitterにスクショ上げつ。
されば帝のコメント欄、たちまち燃え上がり、やがて運営にBANされにけり。
その後、半年ばかりありて、秋のはじめより、かぐや姫、月のいとエモく出でたるを見て、 ハンパなく物思ひたるさまなり。
かくヤバみある様を見て、親どもも「何事ぞ」と問ひ騒げば、
かぐや姫答へて、
「ぶっちゃけ我が身は、この国の人にあらず。月の都の人なり。それをなむ、プチ家出し、竹に乗りて、このパネェ地上の国へ来たりける。今はとうに、観光ビザの滞在期限切れてオーバーステイになりにければ、この月の十五日、かの月の国の実家より、迎えに人々まうで来む。いとダルし。ガン萎えなり」
とのたまひけり。
されば翁、いみじく泣きて、
「我が買ひたるベンツのローン、未だ残りたる。かぐや姫月に帰りて広告収入無くなれば、我はいかがはせむ」
といへば、嫗、もろともに泣きて、
「マジ超展開。我もホストクラブのツケが多く残れり。あな、口惜し」
と嘆けど、せむかたなし。
されど翁、諦めじとて、月人の来たるに備え、ジモメンとファンの男どもをSNSで集め、かぐや姫オフ会と称し、二百もの人を我が家につかはす。
すぐさまファンの男共、推しを見たてまつらむとて、翁の家へまかりけり。
翁、その者どもを屋根の上に百人、イナバ物置の上に百人、あける隙もなく置きて、夜ごとオールにて姫を守らす。
なお嫗、この様子もYouTubeで広告をば付けて配信せり。
これを見てかぐや姫、
「いかな備えをすれども、月の人の力、ガチでやばたにえん。エグいほどレベチなり。かの国の人来なば、にわかに集ひたる陰キャの者共、みなアウトオブ眼中なり。月の人しか勝たん」
といふ。
翁聞かず、激おこぷんぷん丸でいふやう、
「月の人来たらば、我がシバき倒して、奥歯をガタガタ言わさむ。生配信の視聴者に、恥を見せむ」
とイキりをり。
かかるほどに、十五日の夜、宵うちすぎて、
されば天より1000人ばかりのパリピ、クソデカ音量にてHIP-HOPをうち鳴らしつつ、輝く雲に乗りて下り来て、テンションブチアゲで宙に立ち連ねたり。
月の人ども、みなグラサンを掛け、首より銀のチェーンを下げ、ガンを飛ばし、ガタイ良く、げにイカツきこと限りなし。
その中に、月の王とおぼしきリーゼント頭のDQN、空飛ぶ
家の内外に侍りたるファンの者ども、月人のかくなる
なれば月の王、大声にて、
「竹取の翁、まうで来いやオラァ」
とのたまひて、クラクション鳴らし、マウント取りつれば、 先刻まで舐めプしたる竹取の翁もたちまちビビりて、詰みにけり。
月の王、続けて曰く、
「翁、ガチで卑しき者なり。我が妹、かぐや姫はプチ家出をしたまひければ、わずかな時のほどとて下界にくだししを、汝、姫の写真をインスタにアップし、あまつさえYouTubeに動画上げ、そこらの小銭賜ひて、身を変へたるがごとなりにたり。ビザの有効期限果てぬれば、かく迎ふるを、汝は泣きわめく。マジあり得ぬことなり。はや、返したてまつれボケェ」
とディスりけり。
豆腐メンタルの翁、小便をばチビりて、うつ伏し震えたるを見て、かぐや姫、
「あっ…(察せり)」
といへども、
翁、震えて云ふやう、
「なにしに、悲しきに、我をリムりたてまつらむ。かぐや姫の動画収入なくして、我は明日の暮らしをいかがせむ。リボ払いとクレカの請求がカンストしたる我を、いかにせよとて、捨てては月にのぼりたまふぞ」
と、泣きて伏せり。
されば姫、多少わかりみの深ければ、
「我、翁へLINEを書きおきてまからむ。恋しからむをりをり、取りいでて既読つけたまへ」
とて、うち書くメッセは、
「我が残しおきたる御薬売りたまへ。こは不死の薬なれば、いくばくかの金銭とならむ。 翁らとともに動画作りて上げつる日々、短けれど、いと楽しかりき。さらば」
と、書き置きて、ギャル月人の持ちたる壺の薬そへて、嫗呼び寄せて奉らす。
然るに、月の人、ゴリゴリにカスタムされたる軽自動車一つ、空より飛びて具したり。
なほ車体、LEDでギラギラに光りて、ダッシュボードにキティーちゃんの人形をば大量に置きつ。
嫗、壺なる御薬とりつれば、かぐや姫、空飛びたるワゴンRに乗りて、月人ども具して、ついぞ天へと昇りぬ。
翁、嫗、もろともに血の涙を流してぴゑんすれど、その後、姫の書き置きしLINEを読みたる翁、即座に薬をヤフオクへと出品せり。
然れば、かの出会い厨の帝、大金使ひてポチりけり。
不死の薬ポチりたる帝、某ネット掲示板にて、
「いづれの山か、かぐや姫の名に近き」
と問はせたまふに、ある人、
「大和の国にある山なむ、名を近くはべる」
と書き込みて奏す。
これを聞かせたまひて、帝、
「ワンチャンも あらずに会えぬ 我が身には 死なむ薬も マジ不要」
と詠みて、かの奉る不死の薬、大和の国にあなる山の頂に持ちて、その頂にて壺をならべ、ムカ着火ファイアーしたまふ。
そのよしうけたまはりて、後にかぐや姫ファンの者ども、聖地巡礼とて山へのぼりけるよりなむ。
不死の薬燃やしたるマウンテンの名をば、「
そのパネェ煙、いまだ雲の中へ立ちのぼるとぞ、いひ伝えたる。
知らんけど。
【完】
【書籍化決定🎋✨】ファンキー竹取物語 あをにまる @LEE231
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