北海道を直撃したあの地震をリアルに描く獣医師の物語。

2018年に北海道を直撃した大きな災害、『地震』の時の、とある女性獣医師の出来事を綴ったドキュメンタリー風に仕上がっているほぼノンフィクションに近い物語です。
この地震のニュースはもちろん報道などで知ってはいましたし、農場の牛の多くが搾乳作業が進まずに困っている、なども聞いてはいました。大量に廃棄されている牛乳も多くあると。
そのニュースを聞いて「大変だな……」とは思ってはいましたが、この物語に出会い、よりその事柄に詳しく触れることになるとはあの頃は思いもしませんでした。今、出会えたことに感謝をしたい、とても臨場感溢れる内容となっています。

この物語を読んで、ニュースでは決して知ることが出来ないことや、獣医師や農場の人々の苦悩、ライフラインの有難さ、ひしひしとリアルに感じられます。最後のお話は涙なしでは読めませんでした。

全体的にシリアスな内容の中、主人公の篠崎先生の底抜けの明るさにすごく元気を逆にもらえるという、とても強くて、楽しい女性が語り口なので、読んでいてすごく面白いのです!
そこはやはり作者さまのお力だな~と思い、尊敬します。
ちょこちょこ出てくる田中さんという男性もいるのですが、彼もまたさらっとしててすごくいいとこを取ってくるんです(笑)ぜひ彼にも注目していただきたいです。

様々な命が奪われ、涙が多く流れた史実からの物語。
ですが、この苦しい苦境の中でも、また日は昇る、というテーマ性の強い物語。読んでいてすごく勇気がもらえました。
短編で、短い時間でも読めますので、ぜひ皆様に触れていただきたいなと思います。

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