電気が届かなくなったあの日、人々の心を照らしていたものは

3年前、北海道で大停電があったことを覚えておいででしょうか。
あの時、何が起きていたのか。牧場を回る獣医師さんの視点で綴られた物語です。

電気が来ないため搾乳機が動かず、体調を崩していく乳牛たち。
農家さんの不安、獣医師さんの奮闘。それが決して重くなりすぎない、コミカルかつリアリティある絶妙な筆加減で描かれています。

北海道の牧場と聞くと「大自然」みたいなイメージですが、それでも電気は必要不可欠。
ごく当たり前にある生活も、実はたくさんの人々の地道な働きの上に成り立っているのだと実感しました。

絶望に膝を折りそうな時、何が人の心を支えるのか。
これまで頑張ってきたこと、繋いできた絆、共に踏ん張る仲間の存在。
それらは、真っ暗闇の中で人々を奮い立たせる灯火だったと思います。

主人公・篠崎先生の明るいキャラクターも楽しくて面白いです。
笑えて、胸が詰まって、熱くなって、大事なことが沁み入ってくる。いろいろなことを考えさせられる、非常に読み応えのあるお話でした!

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