星架ランナー

作者 一初ゆずこ

74

26人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

こちらの物語は、『現実』から、常に夜だという不可思議な終末世界『常夜』へなぜか流れ着いてしまった零一という大学生が主人公の物語です。
そこでとある少女に出会い、そこから様々な事柄に巻き込まれて行きます。

この世界では様々な人々が暮らしており、主人公はどんどんとその輪へ入っていくのですが……
皆、それぞれ過去に重たい何かを抱えており、共通して『現実』の記憶を無くしています。
その『記憶』というキーワードがこの物語の要になっています。
主人公の零一は自分の記憶を段々と取り戻しながら、『常夜』の謎へ次第に迫っていきます。

こちらの作品は現段階では未完結なので、『常夜』の謎や各人物の謎はまだ全て解き明かされていませんが、少しずつ出てくる真実にドキドキして、次々に読み進めたくなります。

また文章もとても分かりやすく、描写もとても繊細で美しく綴られています。各人物達の様子が手に取るように分かります。
ふんわりとした優しい世界と語り口で繰り広げられ、淡く儚いような色彩を感じてしまいます。読者の時の流れさえもゆったりと感じられる、そんな不思議な魅力を持つ物語です。

色んな思惑や葛藤が交じり合う『常夜』で暮らす人々は果たして『現実』へ帰還出来るのか? その選択をするのか……?

ぜひその真実へ向けて、一緒に駆け抜けてもらいたいな、と思います。

★★★ Excellent!!!

常夜。それはこの世界と似てもいるけれど、夜が明けることのない不思議な街。
さらに時折、音もなく隕石が降り注ぎ、しだいに荒廃が進んでいるという。

主人公零一は、突如この常夜という謎の世界で目覚めます。
なぜかそれまでの記憶を失っているのですが、ひとりの少女・エリカに出会い、一緒に過ごすことになります。

文章を読んでいるはずなのに、幻想的な光景が目に浮かび、美しい音楽が聞こえてくるような臨場感。
さらに飯テロ要素もふんだんにあり、寒い日に食べるラーメンのあたたかさや、みんなでつつくお鍋の味までも思い起こさせてもらえます。
エリカとの距離が徐々に近づいていくスローライフは、ロマンチックでもあり、キュート&癒しでもあります。

しかし、この終末世界には危険や秘密もあるようです。
不気味なモンスター。それらの目的は、いったいなんなのか。住人をおびやかす正体不明の存在です。
また、個性豊かな常夜の住人は、零一と同じく記憶を失っていたり、思い出しかけていたり、それぞれに過去や葛藤を抱えています。
「この世界にいる人は、現実世界では〇〇なのでは……?」
という不穏な予想が、頭を掠めたり……。
ひとりひとりの事情がわかるにつれて、世界の秘密もだんだんとあきらかになっていきます。
ときおり記憶がフラッシュバックする主人公の零一自身、そしてエリカにも、なにやらのっぴきならぬ過去や事情があるようなのですが…

現実世界とリンクした人々のリアルな想いが、幻想的な終末世界で交差する独創世界ファンタジー。
おいしいご飯とともに、味わってみてはいかがでしょう。

…というレビューを書いては直し、書いては直ししていたら、一ヶ月が経ちました。(本当にすみません。)
現在3章の後半にさしかかり、さらにいろいろな背景や事実があきらかになり、深まってきたところです。
今後ますます目が離せない展開となること間違… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

闇と濃い霧に閉ざされ孤立した世界《常夜》。太陽はのぼらず、荒廃した街並みを月光だけが照らす世界に、零一は全ての記憶を失って流れ着いた。現実世界で大学生だったらしい彼を助けたのは、エリカと名乗る女性。わずかな資源と食料を分け合いつつ、二人は共同生活を始める。

《常夜》に流れ着く人々は、みな現実世界で辛い目に遭い、記憶の一部を失っている。ラジオパーソナリティを務める女子中学生ユアとアユ、記憶に残る料理を屋台で作り続ける“大将“、子どもを喪った主婦……。人々は零一を優しく受け入れてくれる。
しかし、零一の到着と時を同じくして、《常夜》に隕石が降るようになってしまう。毎日同じ時刻に降る隕石は、零一が持ち込んだものと言われるが……? そして、人々を襲う黒い霧のモンスター。

零一は、自分の記憶と現実世界に戻る方法を求めて、《常夜》世界の探索を始める。

     ◇

寂寥感と静けさが感じられる《常夜》世界の描写が素晴らしい。仄暗く孤独な世界観や廃墟が好きな方は、きっと好きになると思います。登場する人々がみな優しくて、互いの心情をいたわりながら暮らす姿が愛おしい。時折登場する料理も美味しそうです。

零一とエリカの過去に何があったのか? 《常夜》の住人は救われるのか? SF風のミステリーがお好きな方にお勧めです。

★★★ Excellent!!!

ファンタジーであると同時に細やかな心理描写の冴えるヒューマンドラマです。
舞台は「常夜」という光を失った町。一日中闇に閉ざされたその世界で生きるのは、「現実」でつらい過去を背負い、記憶を失った者たち。彼らは優しさを持ち寄るようにして助け合い、寄り添うようにこの世界で暮らしています。
突然この町へ流れ着いた主人公、零一もそのひとり。彼は自分を助けてくれた少女エリカや住人たちとの日常の中で、少しずつ自分の過去へと向き合うことになるのですが、その道は決して簡単なものではなく……。
記憶を取り戻せないもどかしさと、取り戻した先に向かい合わねばならない現実の苦しみ。そのはざまで生きる住人たちの葛藤は、何が幸せなのかを読者にも問いかけるようです。
終末世界の物語でありながら、町の様子や人の心の移ろいが美しい言葉で描写されていて、闇の世界なのに不思議な暖かさを感じます。住人たちのお互いを思う気持ちにも優しさがにじみ、だからこそ彼らの置かれた境遇がより切なさを増します。
零一やエリカたちが背負う過去とは何か、常夜とは何か、そこから抜け出すときは来るのか。
主人公の運命を追いかけながらこの謎が解き明かされるのを一緒に体験してみてはいかがでしょうか。

★★★ Excellent!!!

謎に満ちた世界、常夜。そこに暮らす人々は、この世界へ迷い込んだと言います。現実から、朝の来ない世界へ来た。だから常夜だと。

そこここにある店に訪れ、必要な品物を手に入れる。そんな風景を見ていると、日常系のお話だったかなとさえ思うことも。
しかし世界は終末を迎えています。商品の補充されない、無人の店。降り落ちる隕石。人々を襲う敵。

記憶を失った主人公、零一は現実に帰れるのでしょうか。そもそも現実なる世界が存在するのでしょうか。
夜と宙を描く美麗な文章と、謎が謎を呼ぶ入り組んだ物語。現時点ではまだ道の中途ですが、胸を高鳴らせながら結末までを追っていきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

物語は、記憶喪失の大学生・零一が『常夜』と呼ばれる不思議な世界に辿り着いたところから幕を開けます。
零一は謎の少女・エリカと共に、自らの状況やこの世界のことを探り始めますが……

記憶が欠けたまま暮らす住人たち、零一と同じタイミングで常夜に流れ落ちた隕石、そして知っているはずなのに思い出せない歌。
零一をはじめエリカや住人たちはなぜ常夜に来たのか、そもそも常夜とは何なのか。
美しい終末世界の中で謎を追っていく展開は、さながらノベルゲームのようです。

少しずつ明かされる常夜の秘密や、天啓のように蘇る記憶から、現実世界で零一の身に重大な何かが起きたことが分かってきます。
はっきりとは思い出せないのに、それが忘れてはいけない大事なものだったことだけは分かる。
そんな切ない息苦しさこそ、本作一番の見どころだと思います。

焦りを伴うスローライフに、時おり挟まれる飯テロ、そしてどんどん濃さを増していく住人たちとの結び付き。
はたして零一は記憶を取り戻し、現実世界へ戻れるのでしょうか?
まだまだ謎が多く、先が気になります。
皆様もぜひ、常夜の秘密を追いかけましょう!

★★★ Excellent!!!

「常夜」と呼ばれる不思議な世界。
そこへ記憶を失くした大学生・零一が流れ着いたとき、世界に星が降り始める。

記憶喪失の零一視点で話が進むため、世界のことも、周囲の人々のこともわからない状態からのスタートです。
「常夜」とは何か?
ここはあの世なのか、それとも夢なのか。
始めからそばにいる、エリカという少女は一体誰なのか。
世界を救うために流れる、音楽の由来とは?

スローな終末感と、人々のそれぞれの生き方・考え方が絡み合い、星降る夜の世界を形作っています。
零一が少しずつ世界の謎・自身の記憶を解いていく過程が丁寧に語られます。
あちこちに散りばめられた、ヒントと思われるアイテムたちは、「現実」とどう繋がっていくのか。

独特の美しい世界。心揺さぶられながらも静かに進行する物語。
星を見上げながら、じっくりと読み進めていきたい作品です。