不思議な世界に星が降る。人々の記憶と思いを包み込む、夜の空に響く音楽。

「常夜」と呼ばれる不思議な世界。
そこへ記憶を失くした大学生・零一が流れ着いたとき、世界に星が降り始める。

記憶喪失の零一視点で話が進むため、世界のことも、周囲の人々のこともわからない状態からのスタートです。
「常夜」とは何か?
ここはあの世なのか、それとも夢なのか。
始めからそばにいる、エリカという少女は一体誰なのか。
世界を救うために流れる、音楽の由来とは?

スローな終末感と、人々のそれぞれの生き方・考え方が絡み合い、星降る夜の世界を形作っています。
零一が少しずつ世界の謎・自身の記憶を解いていく過程が丁寧に語られます。
あちこちに散りばめられた、ヒントと思われるアイテムたちは、「現実」とどう繋がっていくのか。

独特の美しい世界。心揺さぶられながらも静かに進行する物語。
星を見上げながら、じっくりと読み進めていきたい作品です。

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