これは、壮大かつ永遠の愛の物語——。

 この物語は二人の人物の視点から、それぞれの境遇が語られ、やがて壮大な一つの物語へと変化していく複雑な過程を経る。しかし、作者様の筆力と構成力によって、複雑な印象はなく、分かりやすく読みやすい一作となっている。
 主人公の大学生は、友人に小説を書くように勧める。この友人はこの小説で作家としてデヴューし、主人公は大学院へ進む。そんな主人公の下に、文字化けしたメールが届く。それは送られてくるはずのない所から送られていた。主人公は作家となった友人に、このメールの読解を依頼する。そこには人類存亡の危機と、主人公の大切な人たちの悲惨な末路が示されていた。主人公はこの危機を回避するため、奔走することになる。
 もう一人の主人公は苛めを受ける女子高校生だ。主人公はある日、演劇部の部長からスカウトを受けて劇のヒロインに抜擢される。そこにはプロ級の腕を持つメイク担当の少女や、主人公のライバル的存在の少女が在籍していた。しかし主人公が役を「憑依」させるという才能を開花させることにより、主人公は俳優への道を志すことになる。しかし、主人公の母親は頑なに俳優への道を閉ざそうとする。一体何故?

 この一見、何の接点もない二人の主人公。
 しかしこの二人が邂逅する時、世界はピタリと繋がり、全貌が明らかになる。
 作者様ならではの構成と筆力。そして圧巻の知識量と物語。

 この作品の魅力は、小生の筆致では書ききることは到底できません。
 是非、是非、御一読下さい!

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