第 5話 流れ
朝日が
しかし、今、イリソスが得たい守護は水を司る者からだ。
夏至を過ぎ、
一番近い選鉱用の貯水池は飲むには向かない。居住区で
「クロエ?」
振り返れば、彼女は白けた
魔法の
「……まだ使わなくても……」
クロエは疲れた笑顔で首を横に振った。ゆっくりと
「私達の決めたことをするには強い強い魔法の効果が必要よ。どれだけ繰り返せば足りるか。
イリソスは複雑な表情を浮かべながらも、
「有難う」
ねぎらいを口にした。すると彼女の顔は
「……これは祝福じゃない。呪いよ」
「僕に魔法はわからないから同じだよ」
イリソスは笑うと、
その言葉は本心だ。噂に聞いたクロエの魔法。対象の内なる時の流れにほんの
ただ魔法の働く瞬間、クロエと結ばれる。イリソスにとって重要なのはそれだけだ。魔法は、彼女を衰弱させる哀しみと、彼女と繋がる喜びをもたらす諸刃の剣とだけ身に沁みた。
乾き切った選鉱場に水を注げば、焼ける石が浮かれたように音を奏でる。
満たされた潤いにやがて
折々、飲用の
このまま、時が
「そろそろ
年を始める
――でも、君はいつも遠くだけを見ていた。
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