第 3話 不凋花
「でも、僕はここより君が大切なんだ」
それらを
「知ってるわ」
クロエはひどく揺れる車の中に身を
「ここを
「じゃあ、明日から掃除だ。大丈夫、一人でも今年中には……」
「イリソス、それではダメなの」
言葉の真意に気付かないふりをしたイリソスに、しかし、彼女は流されてはくれなかった。
「鉱山の
クロエは、車の
「だから、私はここに
「……君がここの権利を買ったのは、それが理由?」
坑口の闇の前で車を
ダンジョンの魔の枯れる頃、ラウレイオンは既に銅の採掘量も減り、スライムを集めた方が金属を取り出す効率は良い程となっていた。元々、作物の育ち難い地の、長い年月、
一方、銀は供給源が枯れ、
そうなって初めてイリソスは彼女がこれを待っていたことに気が付いた。
『イリソス、私を二度と見なければ、あなたは幸せな生を得られる。私に寄られる隙を見せてはダメよ』
魔窟ではなくなったラウレイオンへ捧げた祭と、ささやかな騒動後、そう告げて一度は彼から去ったクロエ。その声の小さな
瞳と
そのイリソスに彼女はラウレイオンの独占使用権を買って欲しい、と打ち明けたのだ。銀は自分が出す、と
「買ったのは、あなたよ。ここをどうするかを決めるのはイリソス、あなた」
――君はずるい。
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