人界の怨讐を燃やせ、タトゥー!

己の望みを叶える能力を手にしたとき、人は踏みとどまることができるか――

高校三年生の真幌は、ある日謎の男から不気味なタトゥーを授けられる。念じただけで対象を跡形なく燃やしてしまう刺青だ。人間関係のいざこざから、級友と教師、スクールカウンセラーを「焼死」させることに成功した真幌は、得意の絶頂だった。証拠なく、嫌いな人間を消すことができた! 最高だ! 
だがタトゥーには、それを用いることの恐ろしい代償があった。

      ◇

猟奇的な犯罪の報道を目にするたび、多くの人は、それを「特殊な人格の」持ち主が行ったことと考えようとします。犯人を理解しがたい存在にみなし、自分達の日常から切り離して安心したいからです。
けれども、善と悪、正義と犯罪、正気と狂気の境界は、それほど明確に分かれてはいません。ちょっとした切っ掛けがあれば、力を手にすれば、簡単に超えてしまえるのです。――そんなことを思いながら、拝読しました。

恐ろしい能力を手に入れ、その力に酔う真幌が、真実に目覚め、仲間を得て、どのように変わっていくか。どうぞ見届けて下さい。

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