強い力を手に入れて、目の前に憎い相手がいたら、殺さずにいられるだろうか

「応えよ、タトゥー!」
印象的なセリフで発動する発火の力。
不審な男から譲り受けたタトゥーで異能を得た少年が主人公という、導入から何とも厨二心をくすぐられる物語です。

強い力を手に入れても、それを正しく使える人は多くないかもしれません。
主人公・真幌はこの力を使い、自分を陥れた友人や教師らを焼き殺してしまいます。
正直、同じ状況になったら、私も同じ過ちを犯さないとは言い切れないなと、ゾッとしました。

罪悪感と、恐怖心。
例え力の行使に代償を払うのだとしても、一度ついてしまった傷を消すことはできません。
皮膚に描き込まれた『タトゥー』が、象徴的に思えました。

物語の中で、真幌は多くのものを失います。
同時に、大事な仲間や、譲れない意志の存在に気付きます。
強いのは与えられた力であって、彼自身は決して強くない。そんな人間の葛藤と心の奥底の靭さに、胸を打たれました。

非常に考えさせられる物語でした。面白かったです!

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