第44話 弟✖️兄⑤ 博貴(弟)✖️博也(兄)(///ω///) (博也視点)




前回までのあらすじ


人気者イケメンの弟をもつ博也、最近自分を避けている弟の事を寂しく思っていた。

ある日、両親が出張だったため、二人きりなのが気まずく友達を呼んだ博也。

友達が帰るのを見送ると不機嫌そうな博貴がいて、気がつくとソファーに押し倒されていた。


そのまま大人なキスをされ、我に返った弟(博貴)はゴメンだけつげて部屋に閉じこもってしまった。だけど受け入れてしまった。しかもキスが気持ち良くて夢中になってしまい、部屋に戻ってからも博貴の事が頭から離れない自分自身に博也は戸惑いを隠せないでいた。


一方、博貴は部屋に逃げ込みながら、こんな快楽に弱い兄、危なくて仕方がない。兄を他人と自分、両方から守る為、明日からは避けるのをやめよう。自分の理性を抑え込み仲良し兄弟に戻ろうと硬く誓っていた。


この前の話は29話31話42話43話です。



※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※


〈博也視点〉





 次の日の朝、まだぼんやりとした目を擦りながら階段を下りると、リビングが明るい。



 あれ? まだ博貴がいる?




 俺は起きるのが遅いから、俺が目が覚めてリビングに行く頃には、誰も居ない事が多かった。



 父さんや母さんは今は出張中だけど、いる時も朝が早い。


 それに、いつもは博貴も、部活をやっている訳でもないのに、やけに早く家を出ていたから朝ごはんは一人で適当に済ます事がほとんどだった。


 



 どうしよう......。

 今日に限ってまだ博貴が家にいるみたいだ。



 気まずい。


 なんて話しかけたら良いんだろう?


 思い出したら、また顔が熱くなる。



「兄貴? 起きたのか?」




 リビングの前でモタモタしていたら扉が開いて博貴が顔を出した。


「朝ごはん出来たから、食べるだろう?」




 そう優しく声をかけてきた博貴に、一瞬、俺の頭は真っ白になった。



 え?


 誰?


 コレは夢か?


 俺は思わず自分の頬をつねった。



 痛い。



 だけど夢だよな?



 こんな笑顔の博貴を見たのなんて何年ぶりだ?



 だけど夢にまで見るほど昨日の出来事を俺が忘れられないという事なのか?



 そんな風に考えていたら、また昨日博貴からされたキスを思い出してしまった。



 身体が熱くなって、さっきまで眠気でボーとしていた頭が一気に覚めた。


 



 やはり夢じゃないようだ。



「兄貴?」



「ああ、ありがと。貰おうかな」



 いつもはどちらかと言うと俺ばかりが喋っているのに、なんだか俺の方がカタコトの外国人みたいな返答をしてしまった。



「その前に、顔洗ってくる」



 そう言って俺は洗面所に逃げ込んだ。




 アレは誰だ。



 水を出しっぱなしにしながら、先程の博貴の顔を思い浮かべた。


 また昨日の博貴の顔や唇が頭をよぎる。


 鏡に写っている寝癖だらけで頬が真っ赤に染まっている自分の顔を見ながらなんとか顔を冷やさなければと思った。



 いや、紛れもなくあれは博貴なんだが、最近はほとんど無視されていたし、なんだが別人みたいだ。




 いや、昔、俺の後ろを着いて回っていた博貴はあんな感じだったかもしれない。



 俺は身体の熱を冷やす為に、何度も何度も顔を洗った。


 水がかかって、少しTシャツが濡れてしまったが、まあ直ぐに乾くだろう。


   

 戸惑いを隠せないまま、リビングに向かうと食卓には美味しそうな朝ごはんが用意されていた。


 俺は久しぶりすぎる優しい博貴になんて声をかけたら良いか分からず「頂きます」だけ言って、ご飯をひたすら食べた。


 



 博貴と会話できて嬉しいはずなのに、なんだが俺の方が上手く会話出来ない。



「兄貴、昨日は......」



 そう言って何か言いかけた博貴の顔が一瞬赤くなって言葉を飲み込んだ。



 今、昨日のキスの事を言いかけたよな?



 俺も思い出して、一気に顔が熱くなった。


「これ、美味しいな」



 あの時、気持ち良くて夢中になってしまった自分の事まで思い出して、思わず博貴の言葉をさえぎってしまった。


 そんな俺を見て、そっと博貴が俺の顔に向かって手を伸ばしてきた。


「顔、赤いな。熱でもあるのか?」



 そう言いながら博貴が俺のデコに触れる。


 冷たいヒンヤリとした大きな手。



 そして、心配そうに覗き込んでいるようにも見えるが博貴の掌が俺のデコから頬へとゆっくり下りてくる。



 ゆっくりと動かす指は長くてなんだか少し、いやらしい。



 顔が近い。



 博貴はやっぱりイケメンだ。



 目は大きいし、鼻もスーッと通ってて高い。


 俺は何を考えているんだ。



 ずっと一緒に近くで育ってきた博貴じゃないか。



 確かに昨日までずっと避けられていたし、態度が変わりすぎてて何を考えているか分からないけど......仕方ないじゃないか。



 避けられていたとしても俺は昔からブラコンだったんだ。




 また、こうやって会話が出来て嬉しいんだ。


 

 博貴の指が俺の顔の輪郭にそって動く。


 


 そして博貴の唇が目の前にある。



 博貴の冷たい指の感覚を頬に感じながら、思わず博貴の唇をじっと見つめてしまう。


 あの唇、柔らかかった。



 思い出したら顔がまた熱くなってきた。


 


 


 また話せて嬉しい、嬉しいけど、博貴は一体、どういうつもりなんだろう?


 それに、どうして俺は博貴に、弟にドキドキしちゃっているんだろう……。


 昨日から、俺も、俺じゃ無くなっちゃったみたいだ。


 自分の心臓の音がヤケにうるさくて、どうにかなりそうだった。



  ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※ ※※※※



 だいぶ長くなっちゃいました

\(//∇//)\

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る