椿御殿をめぐる血の呪いに翻弄される男の物語

冒頭から引き込まれる。狂気に満ちた男が起こす凄惨で血生臭い事件の描写が、呪いの始まりを劇的に告げるからだ。しかし、椿御殿にかけられた呪いを引き受けるのは、この狂気の男ではない。かけられた呪いは、この男の子々孫々まで続く血の呪い。時代は一気に下る。

支倉造園を営む庭師の和夫は、ある理由から恋人の和美との結婚を躊躇っていた。お互いいい年だと感じながらも、一歩を踏み出すことができない和夫。そんな和夫のもとに一件の仕事が舞い込む。その依頼先はかつて、和夫が暮らした
呪われたあの椿御殿だった。


読み進めるごとに明かされていく和夫の幼少期の出来事。椿御殿を中心に巻き起こる出来事が読者を引き寄せる。それはまるで呪いのようである。ミステリーであり、ホラーでもある本作品には、常に付きまとう不気味さがある。ホラーが好きな方にもおススメの作品。

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