がっつり骨太な世界観と、個性豊かな人々に神々。何より主人公の前向きさ!

小説をほめるとき、例えば美しい文章表現だったり、登場人物の細やかな心情の紡ぎ方だったり、伏線の散りばめ方だったり、様々なポイントがありますが。

この作品は何より、世界設定が、世界が本当にしっかりしている!
宗教や地理、紋唱術と呼ばれる技術とそれを前提とした生活観、服飾文化に人種間の関係性、神々の関係性など、世界の成り立ちが実在するようにしっかりしていて、血肉を感じるんです。
そこに立つ人々と神々の、なんと活き活きとしていることか。

そして登場人物、みんな魅力的です。
主要人物はもちろんのこと、敵役も脇役もそれぞれに魅力と信条があり、みんなに感情移入してしまいます。
人も神も合わせれば登場人物は多い方ですが、印象薄い人なんていません。

そして何より、我らが主人公ララキ!
なかなかに悲惨な内容も多いこの物語で、それでも明るく楽しいお話として読めるのは、ひとえに彼女の前向きさのおかげでしょう。
きっとララキ一人だけ別の人間にすげ替えて物語を展開させたら、全然違うお話になると思います。
どんなになっても超ポジティブで、神様相手にもペースを崩さない彼女はシンプルにすごいというか、もうちょっと相手が神だってわきまえたっていいんじゃないですかねぇ!?
あなたよりによってあの神とかあの神とかに気安く話しかけたりして、命知らずというか畏れ多いって感情が欠落してるのか!?(※大絶賛してます)

本当に、素敵なお話でした。
多くの人に読んでほしい作品だと思います。
100万字もあるから尻込みしてしまう?
うるせぇ名作を100万字分も読めるんだから超お得でしょうが!
のめり込んだら100万字なんてすぐだよすぐ!
本当に!!おもしろかった!!です!!

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