何時しか二人は、互いの旅に必要不可欠な存在に。目指すは幸福の国。

【簡単なあらすじ】
ジャンル:異世界(恋愛)
互いに別の目的を持ち旅をする二人が、あることをきっかけに出逢う。初めは目的地が同じため、同行していただけだったのだが、互い目的や行き先を知り、共に神々の世界『幸福の国』を目指し旅をする物語。

【物語の始まりは】
ある朝から始まっていく。主人公の一人(ララキ)はうだるような暑さ、湿気の中支度を整え旅へと。その街の中央部では異国の少年(ミルン)が朝食に悩んでいた。二人はここで出逢い、少女の旅の行き先と少年が何処から来たのかなどが明かされていく。

【舞台や世界観、方向性】
アンハナケウ……幸福の国。すべての始まりの場所であり。神々のおわす聖域。しかしそれは空想または想像のものだと思われていた。
W主人公(男女)。多神教の世界。
動物が喋る。これは、その辺にいる動物が話すわけではなく、一般的なイメージでは召喚獣のようなスタイルで呼び出した動物が喋るというもの。個々に個性があり、母親のようなものもいれば、相棒のようなものいる。

〈補足:個人的に調べた用語〉
【僥倖】ぎょうこう……偶然に得るしあわせ。
【他生】たしょう……(仏教)今生(こんじょう)に対し、現在の自分がその生れ変りである過去の生、および生まれ変わって行く未来の生。前世および来世。(web調べ)

【主人公と登場人物について】
少女ララキ……ある場所を探すために旅に出る。軽装。彼女には現代を生きる人には少し信じがたいような過去がある。
少年ミルン……地に足のついたタイプという印象。初めはアンハナケウをおとぎ話として、ララキの言うことをバカにしている素振りがあったが、彼女とともに行動しているうちに、決定的なものを見てしまう。その為、信じるざるを得ない状況となっていく。
初めは仲が良いとは言い難い関係であったが、互いに旅の仲間として、必要と感じるようになっていく印象。

【物語について】
ある者を探している少年と、ある者(正しくは人ではない)を救うために旅をする少女が、初めは偶然行き先が重なり同行しているが、彼女の目的を知り彼が自分の意志で、共にアンハナケウを目指す物語。

ララキの旅の行き先が分かったものの、ミルンに対し彼女は不愉快な思いをしているようである。それというのも、アンハナケウをおとぎ話とバカにされたからであろう。しかし彼女はその存在を確証しているような印象だ。不愉快な思いをし彼と別れた主人公であったが、何故か行く先々で出逢ってしまう。しまいには同じ場所へ向かうことを知り、同行することに。その頃には、彼の実力を知り不快感は消えていた。

この旅の中で、あることをきっかけに異変が起き始める。その原因に薄々気づいている二人。次の目的地に向かう途中で、またしても幻獣に出くわす。その戦いでミルンは怪我を負ってしまうが、その事がきっかけで謎の少女と出逢うのだった。
その後ミルンは、ララキの境遇について彼女から打ち明けられる。それは想像を絶するものであったし、にわかには信じがたい事実であったろう。だが、彼には信じるだけの理由があった。こうして二人は、共にアンハナケウを目指すこともなったのである。

【良い点(箇条書き)】
・世界観がしっかりしており、方向性の分かりやすい物語である。
・あらすじの感じからは朗らかなイメージを持ったが、明るいファンタジーというよりは、段々と謎が解明され、常に危機と隣り合わせというような”冒険もの”の色が濃い。ハラハラドキドキしつつも、次はどんな展開が待っているのだろうか? というワクワク感もあるのだ。
・意外性が詰まっている。あらすじでは”古代人”というキーワードは出てくるものの、どんなモノなのかその時点では想像がつかない。(彼女の境遇が明かされると、納得するという意味合いである)
・人物の背景が濃く、深い。何故旅をしているのか、どんなものを抱えているのかは段々と明かされていくが、知れば知るほどに物語に深みが出てくる。

【備考(補足)】13話まで拝読
【見どころ】
戦闘シーンはあるものの、チートスキルなどで強いというわけでもなく、戦うことを目的としていないからこそ、面白味のある物語である。
旅の目的はそれぞれ異なるものの、目的地が合致し、互いを必要としている二人がアンハナケウという場所を目指して旅をする。初めは相性の決して良いとは言えない二人だが、あることをきっかけにして正式な同行者となるのだ。
この物語は目的地にたどり着くことがメインであり(それだけが目的ではないが)、必然的に戦闘というものが起きる。通常ならば旅に危険はつきものであっても、それは偶然に過ぎない世界なのではないだろうか? (これは想像でしかないが) 
その為、彼らは”屈強な冒険者”というわけではなく、自らの意志により強くなろうとしていく。成長の物語でもあると思われる。
その上、二人とも裕福なお金持ちというわけではないので、路銀を稼ぐという場面も。優雅な旅行者ではなくバックパッカーのようなイメージの方が近い。ファンタジーでありながら、地に足のついた現実的な部分もあり、”旅”というものに対してのリアリティを持たせている作品だと感じた。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 

彼らは無事、目的地にたどり着けるのだろうか? 
そして目的を果たせるのだろうか? 
その目で是非、確かめてみてくださいね。お奨めです。

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