誰にもある心の明と暗に全力で向き合った者たちの物語。

全話読了してのレビューです。

この物語の見所は大きく分けて三つあると思います。
一つ目は紋唱術。二つ目にラブロマンス。三つ目に陰謀です。

紋唱術は紋章を描き、風や氷といった属性を操る力です。
ここで面白いのが、すべての生命(人も獣も神も)に心の紋章が刻まれているという点です。
これを利用して紋唱術師は契約した獣を呼び出したり会話したりできます。この獣との触れ合いが過酷な旅の癒しとなり、バトルともなるととてもかっこいいです!
そして紋章が刻まれているのは神々も同じということで、神と人を繋ぐ絆でもあれば、後に大事件を引き起こすきっかけともなります。

次にラブロマンス。
主役の三人はもちろん、その家族も、果ては神々の間でもラブロマンスが話を盛り上げています!
なんといっても主人公たちの恋なのですが、とにかく私はWヒロインのひとりスニエリタに惚れ込み、彼女の成長を応援しつつ恋路の途中で涙ぐみました。ぜひ注目してもらいたい人物です。
そして一般的な男女の情以外にも、ヤンキーを笑って許す好好爺の深い情や、弟分をそっと見守る気丈な女神の眼差しなど素敵な愛がたくさんあります!

そして陰謀。
この作品は登場人物ほぼ全員の視点から描かれています。それだけ人間社会でも神の間でも、本当に様々な思いが絡み合いストーリーに深みを与えています。
第一に裏切りの存在です。
これが物語に暗雲を呼び先が見えないわくわく感があると同時に、問題が一気に複数件乱立する場面もあり読者の目を離しません。
心理描写はとてもていねいに描かれ、混乱は少なく読みやすいです!

名前が覚えられない!
この問題は私も直面しましたが大丈夫です。
各国の名前と対応する神、登場人物などの一覧は最後のページにまとめられています!

心が持っている明と暗。
それに苦悩する者や突き進む者、じっと堪えたり、またはおおらかに包んだり、迷走したり、殻をひとつ破ってみたり。
神も人も関係なく、心との向き合い方をそれぞれの方法で見せてくれた物語でした。ララキたちと旅ができて楽しかったです。ありがとうございます。

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