第11話 シバサブロウによろしく
私自身が鍵…どゆこと?爺ちゃんもうちょっとオマケちょーだい?
実はカワイイキャラである3カメちゃんつぶらな瞳をキラキラさせて訴えかける。
「そんな目で見てもダメじゃ。これ以上は教えられん。」
ちっ。ケチ爺め。
でもそれって裏を返せば”私自身”以外の情報は核心に迫るから言えないって事か。ヒュドラって存在そのものに糸口があるんやな。
それなら魔法の線は薄いか…。
ゴリ爺が言った『鍵はお主自身じゃ。』だけなら候補に入るが、『お前さんは何者じゃ?』と問われたんだよね。その時点で”ヒュドラ”としての存在自体に限定されてる。
爺が手帳に呪文を書き記してある事を信じれば、おそらく解毒魔法はヒュドラに限らず使えるはず。
裏をかいて即興で造るって手もあるが、魔法を創造するには構成や仕組みの謎を急ぎで解明しなくちゃいけない。それには圧倒的に時間が足りない。
手順としては持ってる知識から呪文に該当しそうな情報を収集し、それらの情報を解析し、謎を解いてから構築し、ってなると一朝一夕で出来そうな代物ではないなコリャ。
鍵はヒュドラの毒特性だろなぁ。毒…毒ねぇ。ヒュドラの能力で解っている事と言えば頭ごとに違う設定の攻撃機能だけ―――って、あれ?攻撃が出ない頭があったじゃんっ!!
「3カメちゃんと7カメちゃんだぁっ!」
思わず大きい声でちゃった。
「ビックリしたぁ。なんじゃイキなり…。」
お爺も驚くデカさだったか。さっき私の肝の細さイジってたから大丈夫なんでしょ?まさかとは思うけどビビッて寿命が縮んだりしてないよね?あーん??
まあ、たまげているゴリ爺はほっといて、3カメと7カメに『攻撃』以外の能力が備わってると仮定すると、
●防御系:バリアや結界とかの能力。実は封印されてた時に検証済み。結果はウンともスンとも反応しなかったよ。欲しかったなぁ。
●支援系、補助系:状態の回復や強化、弱体化などが主な能力かな?どっちかというと魔法寄りな系統に思える。
物理でなら自分や相手に直接咬みついて、『ポイズンのような何か』をドーピング注射する手もあるけどなるべく最後の手段にしたい。そもそも、『疲れや病が噓のように消えた』とか『力や素早さが格段に上がる』とかの現象生み出す毒なんてロクなもんじゃない。脳内細胞ぶっ壊すようなヤバいお薬でしかないでしょ。たぶん違法のヤツ。
●生産系:毒を生成する能力。ヒュドラは毒特化なんだから扱える種類も一つじゃないはず。蛇毒なら『神経毒』、『出血毒』、『筋肉毒』なんかが適正ありかな?
何かがあると思う。この中で可能性があるとするなら…よし、ビンゴッ!
7カメちゃんに反応あり。やっぱ能力は生産系の『毒生成』でした。どんな種類があるのか調べてみたいけど、今は後回し。
残るは3カメちゃん。この救助の成否は我が心のアイドルに絞られた。その能力にも目星はついてる。
なぜなら他の頭と同じ構成であれば3カメちゃんと7カメちゃんは対となっており同系統のはず。そして『毒生成』で反応しないなら”毒じゃない”何かを作る能力でしょ。私の予想が当たっているなら、それは…”薬”だ。
もし薬なら毒を元に造るとすると抗体がいる。
抗体ってのは、体内に毒を持ってる生物が自分に毒が回らないよう免疫という性質で守ってて、その中にある毒を無効化する物質のこと。
その抗体を毒効かないやつの血液などから抽出して精製すると”血清”っていう薬ができる。毒症状の人にそれを投与できれば抗体か毒と結びつき中和される。つまりは毒を無効にできるって事だ!
この抗体、正式にはポリクローナル抗体って言うらしいんだけど、こいつを血液からじゃなく体液から作って牙を通して生み出せるのが…ジャジャーン!
3カメちゃんだーっ!!たった今できるか確認したら反応ありました!薬ができるよ!やったね3カメちゃん!
そしてありがとう知識の中のシバサブロウ先生!何でもそのお医者さんが『抗血清』っていう血清治療を生み出したらしいよっ!マジ偉人!!大天才!!!
「…ってもう虫の息じゃねーか!」
いろんな薬を試している時間は無さそうだ。一発で決めるしかない。
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