第2話 人間辞めてますやん。
怖いですね。記憶がないって。
でも、何故か最初からあった感覚と知識は人間のものだったんですよ。
だから当然、いまの自分として意識が目覚めると“自分は人間だ”と認識したんですよね。最初は。
でも、それと相反する様に感覚器官は全く違った情報を僕に提示して来たんです。
1、視線が高すぎるんですよ。地上までがかなりの距離感。体感100m近くある気がする。安定して立ってますけど、それでも正直恐いです。
2、視界が一つじゃない。複数あるんですよ。なんですか?コレ?例えればカメラ複数で撮った映像をメインモニター集めて映してる感じですね。
3、身体的特徴がおかしい。首が異様に長い。しかも自在に操れる。そのおかげで可動域に制限がなく、頭ごと動かして、真後ろや高低差を使い分けた視点移動ができる。鳥の様に高い場所から俯瞰(ふかん)で見たり、蟻の様に低い場所から仰視(ぎょうし)で見たりが可能。まるで立体機動型のクレーンカメラを動かしているよう。
それらを統合すると…うん、人間辞めてますやん。
辺りを見回そうとすると、頭を左右に振った時の遠心力がエグい。そら酔いますよ。気持ち悪い。
体は異様に大きいですね。胴体の形態はトカゲ型で、四つん這いが基本姿勢。 尻尾は太くて直線的。毛などはなく、鱗で綺麗に覆われている。まるで竜種のような体型。なんか全身がヌメってるし、顔は蛇の様なんですけど。
すぐに自分が何者かの予想が付き、慌てて詳細に姿を確認すると…
うん。これはヒュドラだ。
中々インパクトのある結果に、意識が飛びかけるが、落ち込んだって仕方がない。ぐずっても何も変らないから、ここは開き直って強そうな生き物になれた事にとりあえず感謝しましょう。
やっぱ人間きり替えが大事ですね。人間じゃないけど。
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