スポットライトが当たることを願って

登録してまだ日が浅いんですが、一番の衝撃でした。

とにかく沢山の本を読んでいる方とお見受けしました。語彙力に富んでいて、表現が豊かです。地の文は多めですが、文章が上手いので苦にはなりません。

相続に関する法律の知識なども深くて、感嘆しました。題材は重いですが、誰しも避けては通れないものです。読み進めると、改めて死について自分がどう向き合うべきかを問われることになります。


キャラクターや設定に対しての掘り下げが、驚くほど深いです。設定に対して、キャラクターが忠実に動くので破綻がなく、息遣いを感じます。俯瞰の視点で物事を語るシニカルな島崎と、直感で物事を見通す感受性が豊かな夏目の対比も面白いですね。

作中には伝えたいメッセージやテーマ性が浮かび上がるんですが、押し付けがましくなく嫌味も感じません。そういったバランス感覚も優れているのかもしれませんね。見習いたいです。

そこはかとなく、作家性というものを見せつけられた思いです。嫉妬とかではなく、純粋に敬意を払いたいです。多くの人に読んでもらいたいですが、なにより運営の人とか、出版関係の人の目に止まることを祈ります。

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