「平家物語」扇の的の場面を平家の少女の側から見る

〈たまずさ〉とは手紙や消息であったり、その使者であるといいます。
玉虫に寄せる波は誰の面影か。
玉虫が返す波は、その人への恋慕か。

少女の、ほのかな恋心が、平家が滅びに向かうとき、芯のある恋慕へと変わっていくようでした。

戦の運不運。神の気まぐれ。人の心。歴史とは少しの何かで変わってしまうもの。けれど、そのときに誰もが懸命に生きたということでしょうか。
永久になった初恋が、心に打ち寄せます。
いつか、玉虫も波となって、愛しい人と再び会えることを願ってやみません。

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