概要
関ヶ原・大坂冬夏の陣・天草の乱、戦国の兄弟は敵味方に分かれて長く戦った
かって浦上家の居城であった吉井川上流の天神山城の廃城で、十字架に磔にされることを捨丸は望んだ。
付き添い役が何故天神山城なのかをたずねると、捨丸は、そこで磔にされた新免伊賀守の嫡男長春の奥方の百合姫と同じ場所で死にたいからだとは口にしなかった。
「そこがいちばん天国に近いところだから・・・」
とのみ捨丸は答えた。
(その275最終章/生保三年6月岡山)
無三四は、五輪書の最後の章句を書き終えて筆を置くと、そのまま死の床についた。
泉谷兵衛之亮一門と戦ったあとに捨丸と交わしたことばを、無三四は夢うつつの中で思い出した。
「不様な試合じゃったな」
「なんの、いざとなったら助っ人に入ろうと思ったが、見事な勝利だった。今福の河川敷でふたりで有馬喜兵衛と戦ったはじめての果し合いを思い出した。兄者は十
付き添い役が何故天神山城なのかをたずねると、捨丸は、そこで磔にされた新免伊賀守の嫡男長春の奥方の百合姫と同じ場所で死にたいからだとは口にしなかった。
「そこがいちばん天国に近いところだから・・・」
とのみ捨丸は答えた。
(その275最終章/生保三年6月岡山)
無三四は、五輪書の最後の章句を書き終えて筆を置くと、そのまま死の床についた。
泉谷兵衛之亮一門と戦ったあとに捨丸と交わしたことばを、無三四は夢うつつの中で思い出した。
「不様な試合じゃったな」
「なんの、いざとなったら助っ人に入ろうと思ったが、見事な勝利だった。今福の河川敷でふたりで有馬喜兵衛と戦ったはじめての果し合いを思い出した。兄者は十