概要
たとえ空っぽになっても、きっと、取り戻せるものだってある
年を取らず、子宮に魔女を抱え、思い出を喰われる娘、ユエ。
眼窩に宿る猫の目リールーを相棒に、呪い師として放浪している──はずだったのだが、どうやら結婚していたらしい。
魔女に喰われた、幸せだったはずの三年間。
そこにあったはずの、恋の記憶。
夫の名を聞けども、何ひとつ感じる事ができない。
一方で夫は、王太子暗殺の濡れ衣を着せられ、捕らわれの身となっていた。
過去を「なくして」しまう宿命の化け猫娘が、ひとりの命のため受けとった対価とは。
人の体に猫をまとって、化け猫ユエが降ってくる。
(化け猫シリーズ第三作)
(第三回こむら川小説大賞参加作品。テーマ『空』)
(2021.02.13講評を受けて一部改稿済み)
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眼窩に宿る猫の目リールーを相棒に、呪い師として放浪している──はずだったのだが、どうやら結婚していたらしい。
魔女に喰われた、幸せだったはずの三年間。
そこにあったはずの、恋の記憶。
夫の名を聞けども、何ひとつ感じる事ができない。
一方で夫は、王太子暗殺の濡れ衣を着せられ、捕らわれの身となっていた。
過去を「なくして」しまう宿命の化け猫娘が、ひとりの命のため受けとった対価とは。
人の体に猫をまとって、化け猫ユエが降ってくる。
(化け猫シリーズ第三作)
(第三回こむら川小説大賞参加作品。テーマ『空』)
(2021.02.13講評を受けて一部改稿済み)
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!細やかなディティールに下支えされた、伝奇風ファンタジー
歳を取らない化け猫の少女の、長い旅路のうちの一幕。
ファンタジーです。タグの「亜熱帯怪奇譚」という語そのままの、エキゾチックで伝奇な冒険譚。上記の「歳を〜〜一幕」の一行、あらすじを一行で要約するにしても、かなり漠然としたまとめ方をしてしまったのですけれど、どうしても〝こう〟紹介したくなってしまうお話。手に汗握るアクションがあり、また心躍る設定の楽しみもてんこ盛りで、なによりきっちりドラマがあるのですけれど、でもお話の筋そのものは直接読んで体験して欲しいというのがあります。ここで触れてしまうのは勿体ない!
ネタバレ、と言っては大袈裟なのですけれど(ミステリにおけるトリックなどのような「わ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不思議から滲む圧倒的重み、超速の物語展開。あと、平麺。
化け猫ユエの、長い旅の途中のお話。
どうしてユエが化け猫になったのか、どういう理由でそれが成立するのか、そのための代償とはなにか……。猛スピードで駆け抜けながら、ひとつずつ明かされていくそれらが、理解できればできるほどに切ない。
お腹に住み着く厄介なもののせいで、存在自体が危ういユエなので、どんなに満たされていても、いつ「なくなる」ことになるかわからない。喪失への不安と、だからこそ守りたい大事なものへの思いが、読み進めるほどに迫ってきました。
そしてユエは、強い思いを抱えて「おちる」。抱えているものの重さすら振り払うようなこのシーン、ユエの宿命に散々悲観させられた挙句のラストシーン。読み…続きを読む