26年前
8. 化け猫おちる
この世の地獄か石つぶて
哀れな男に情けはなしや
刀ぎらりと光れども
真昼に月が降ってきて
あいや妖しの化け猫さまが
おいらを天にのぼらせた
あーこりゃ、あーこりゃいい匂い
「恥ずかしいから匂いのくだり変えようよ。なんで入れたの? 絶対そんなはずないんだけど」
(そこは同感であるな。あの時は、何日も着の身着のままで過ごしておったのだし)
「右目殿もそう思うってよ?」
「いや、ユエさん、本当にいい匂いしたんですって。幻の
「もう」
「お腹のすき具合はどうです?」
「わたしの? 居候の?」
「ユエさんの」
「まだ平気。お腹すいたの?」
「はは、実は」
「いいよ。いったん止まって、お昼にしよう」
「あ、そうだユエさん」
「なに?」
「愛してますよ」
「また、急に、そういうこと言う……」
「どうです?」
「……もう」
<化け猫おちる 完>
化け猫おちる 帆多 丁 @T_Jota
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます