どこか退廃的な耽美を感じさせる一作。 犬が現実逃避の象徴として描かれる一方、二人の感情に対して回るいびつなコマの軸としても働いている。 主人公から眺めた彼は蝶のようなもので、いつかは手をすり抜けてしまうのを自覚していたのだろう。 川の水は清水特有の香りを発しているに違いない。 詳細本作。
冒頭は野良犬の世話を通して、三好との育ちや立場の違いを浮き彫りにしつつ二人を近づける。そして犬が居なくなり、その穴に三好が入ったことで物語は取り返しのつかない方角へ舵を切るごく自然で何気ない描写がひとつひとつ編み上げられて、やがて見事な土砂降りの雨が降る空の底の絵を描いた
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