一筋縄ではいかない異世界ファンタジー

物語が盛り上がってきたところでのレビューになります。

この異世界転移、トイレからスタートするという不思議な幕開けから物語が始まります。

転移するのはごくごく平凡な一家全員。ちなみに爺ちゃん、婆ちゃん、父さん母さん、姉さんと弟くん、それにペットのワンちゃん。
彼らがいきなり異世界に放り込まれます。
しかも剣だ魔法だ美少女だイケメンだ、という異世界ではなく、妙にリアルな別世界。

そこでいきなりその世界の現実に放り込まれます。
いきなり徴兵されるわ、お金がないから職探し、プライドの高さゆえかなかなかなじめない爺ちゃんの悲哀。
そんな悲喜こもごものドラマがリアルに展開していきます。
その様はどこか群像劇のようで、どのキャラクターにもしっかりと光が当たっています。
それでもなんとかかんとか頑張って生活し、世界にも馴染み、異邦人ならではの成功もつかみかけて……とこの辺りのストーリーはすごくワクワクします。

しかし、これだけで済ませないのがこの作者のすごいところ。
斜め上の、というか不意打ちのように、新たなエピソードが繰り出され、世界を深く、広く、展開していくのです。
ようやくパーツが組みあがったと思ったら、それもまたピースの一部。
広大なジグソーパズルがあることに気づかされます。

この様々なベクトルをもったエピソードたちが一つにつながった時、どんな物語が、世界がそこに広がるのか?
この物語の行きつく先に何が見えるのか?
私はそれが楽しみで仕方ありません。

コメディー要素もたっぷりに読み口は楽しく軽やか、でもシリアスなシーンはじっくりと読ませる心地のいい語り口!
連載中の今だからこそ、是非追いかけて欲しいと思います!

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