彼らが斬るのは嘘だけじゃない!その心が運命を切り拓く最強アドベンチャー
- ★★★ Excellent!!!
ヒトと竜が共存するその世界、何者かにその国の王女が襲われる一夜から物語はスタートする。
幼い頃に巻き込まれた事件により、内向的になり書庫塔と呼ばれる場所でほぼ軟禁生活を送っていた王女フィールーン。
彼女を救ったのは彼女と同じ姿、秘密を持つ"木こり"のセイルで……。
その昔ヒトと竜によって滅ぼされたはずの悪の種族『竜人』、その力と姿を得てしまったのは不器用ながらも優しい、しっかりと芯の通った主人公二人。
二人の中に宿るのは、竜の賢者と呼ばれたテオギスとルナニーナ。セイルの中に宿るテオギスの魂は時として励まし、様々な助言をくれるのです。
そして竜人化した二人の、勇ましく嘘のないまっすぐな言葉達。
人と接することに臆病になってしまった彼らの交流がすごく微笑ましく、その心理描写も丁寧に描かれているのであったいう間に惹き込まれてしまいます!
生真面目で堅物ながら、王女にド直球な忠誠を誓う騎士 リクスン。
セイルの妹で、精霊の隣人と呼ばれる類い稀なる資質を持つエルシー。
生粋の商売人でムードメーカーな、旅の金庫番タルトト。
……他にも魅力的で絶対に好きになるキャラクターがたくさん出てきます。
個性的で、世界を救おうとその身を賭けて挑む彼ら。もちろん、優しくてどこか世間離れしているような彼らには、それ相応の抱えるものもあり——。
緻密に練られた世界観と、成長していくキャラクター達の心情。
隠されていそうな陰謀の影や、傷ついて自分を守るためについてしまう嘘や隠した本心。
個人的に第4章の流れは涙なしに読めないのではないかと思うほど。
彼らが斬るのは嘘だけじゃない。自分は決してダメじゃない。切り裂き、痛みと共に歩みだした先に拓かれているのは、未来か希望か——。
運命に挑む彼らの姿に勇気をもらえる素敵な一作です。
是非アナタも、この切り拓かれた運命と歴史の証人となれ——。