悪意を跳ねのけ真実を見極めよ。竜血を抱く青年と王女の冒険ファンタジー!

 無口な木こりの青年と、本好きで引きこもりだった王女の、出会いから始まる物語。竜や獣人たち、個性豊かな登場人物たちが織りなす、旅する冒険ファンタジーです。

 事情があり軟禁生活を送っていた十七歳の王女フィールーンは、ある夜、城へ侵入してきた異形の怪物にさらわれそうになります。自力ではどうにもならず絶体絶命のところに現れたのは、竜の鱗と翼をその身に顕現させた青年でした。
 自分はただの「木こり」だと名乗る青年は、異形の力で怪物を降し、フィールーンを助けてくれるのですが、そこへ姫の側仕えである青年騎士が到着します。彼が助けてくれた、と訴えるものの、騎士は聞く耳を持たず……、

 と、始まりからして動きのある、見どころの多い物語です。
 木こりの青年がなぜ『竜人』と呼ばれる異形の姿をしていたのか、姫はなぜメイド姿で攫われそうになっていたのか、青年騎士は鎧をまとったまま空を飛べるのか――?
 大きな謎から小さな疑問まで取り揃えて、個性的な登場人物たちが波乱に満ちたストーリーを引っ張っていってくれます。

 引きこもり王女と無口な木こりというコミュ不器用の二人が、特定の条件下でガラリと性格を変えてしまうなど、王道シュチュエーションを散りばめつつも、背景をなすのはシリアスで壮大な使命と願い。垣間見える各自の不器用な優しさを感じつつ、彼らの旅路が楽しいものとなるように読み手として祈らずにはいられません。
 謎と冒険と森でのサバイバルに満ちた冒険ファンタジー、ぜひご一読ください。

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