第6話、魔王城にやってきた

魔王さんの使者がやってきた。


「久々だね、魔王軍使者のグンマだよ。夜露死苦ヨロシク!」


「はあ、ご無沙汰しています」


「いやいや、すごい出世だねお嬢ちゃん」


「いえ」


「というわけで、魔界と人界、アンデッド界わたしたち。この3界で和平協定を結びたいってのが魔王さんの意向なんだが、賛同夜露死苦!」


「おい、グンマとやら」


「おう」


「わしは賢者マーリンじゃ」


「カーッ、初代勇者さんの右腕と言われたマーリンさんだよね。

俺っち、ファンだったよ。あとでサイン夜露死苦!」


「和平協定の条件として、まず我々が悪魔軍と戦う優先権をもらう」


「カーッ、そんだけの戦力持ってるもんね。そこは、こっちからお願いしたいってのが、魔王さんの希望でもあるもんね。

お任せ夜露死苦!」


「もう一つ、魔界と人間界で保有しているダンジョンコアを譲ってくれ」


「ちょい待ち。今、魔王さんに確認するから夜露死苦!」


『あー、魔王さん魔王さん、今の聞いてたと思うけど、どう…うん、うん、オッケーちゃんね。

あっ、人界も了解済み。

オッケーオッケー』


「てなわけで、その条件もクリア夜露死苦!」


「最後じゃ、調印は魔王城でやってくれ」


「あそこらへん、戦死者がいっぱいだもんね。

それは魔王さんも予測してたあるよ。

その条件もクリア夜露死苦!」


こうして、三日後の夜に魔王城で調印式が行われることになりました。


私は、マーリンさんと雄太郎君初代勇者と三人で魔王城に向かいます。


というか、マーリンさんの瞬間移動であっという間なんですけどね。


「おお、三百年ぶりの魔王城ですな勇者殿」


「ワン」


「初代魔王から5代魔王まで倒しましたから、今回で6度目ですな」


「ワン」


「えっ、そんなに来てるんですか」


「魔王は、概ね5年で復活しますからな。

確か、最初は勇者殿が童貞を卒業した日」


「ワンワン」


「あっ、私が卒業した時でしたか。

勇者殿が卒業したのは二度目の時でしたな」


「ワン」


「なんだか、卒業記念旅行みたいですね」


「いやいや、やっぱり卒業直後は活力が満ち溢れてますからな。

わっはっは」


「ワンワンワン」


「三回目は?」


「えっと、確か聖女殿が無理やり王子に手籠てごめにされた翌日でしたか」


「ワンワン」


「そうそう、王子の右頬がはれ上がってましたな」


「せ、聖女さんって、その、処女じゃないんですか…」


「貫通後は聖母になりますから、大して変わりませんな。

あの時は、聖母の怒りとかの新術式で魔王軍が城ごと太陽に飛ばされたんでしたな」


「なんだか、魔王さんが気の毒に思えてきました…」


「4回目の時は、二代目勇者が卒業直後だったのですが、張り切りすぎて自爆してしまいましたからな」


「ワンワンワン」


「そうそう、5回目の時は、全員が経験済みで、大人の余裕というか直接城の広間から魔王の座へ瞬間移動して…

あの時の魔王の顔ったら大うけでしたな」


「ワン」


「いや、魔王が失禁した件は内緒にしておいてあげようって言ったじゃないですか」


「………」


「さ、調印は会議室でしたな。まいりましょう」



会議室には人側も魔王側も、3人揃っていた・


「ちっ、小娘が…」


私に聞こえるか聞こえないかくらいの声で人側から聞こえてきた。


「お嬢、愛のムチを使っていいですよ」


マーリンさんが小声で言ってきた。

事前に打ち合わせで、軽く見られているようなら、心の中で愛のムチを発動することになっている。


愛のムチ~♪ ぺペン

愛のムチ~♪ ぺペン


6人がビクンと体を震わせる。


愛のムチ~♪ ぺペン

愛のムチ~♪ ぺペン


こういう反抗的な人に面と向かって使うのは初めてだった。


愛のムチ~♪ ぺペン

愛のムチ~♪ ぺペン


六回目で、人側もトロンとした虚ろな目になった。



「では、5年間の和平協定ということでよろしいですな」


「「異議なし」」


こうして、無事調印を終えた。

帰りは魔王側に用意させた馬車で、ゆっくり帰る。


愛のムチ~♪ ぺペン

愛のムチ~♪ ぺペン


ゾロゾロと後ろからついてくる人たちがいる。

何代目かの魔王さんらしいスケルトンや、勇者っぽいゾンビさんも混ざっていた。

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