第4話、デス・リザードマンに進化してもらいました

「ところで、お嬢の望みは?」


「穏やかに暮らせればいいです」


「うむ、見上げた心がけです。

すべての脅威を排除して、われらが安心して暮らせる世界ですな」


「い、いえ…」


「そうなると、敵はアンデッドと悪魔族。魔族と人族ですな」


「魔族と人族は、ジョブが違うだけで同じ人間。当面は同盟を組んでアンデッドと悪魔族を滅ぼそうぜ」


「いや、このメンバーならば、同盟など不要だろ」


「みんな落ち着け。

まずは、敵を知ること。それと、戦力の確認と増強じゃな」


「ああ、スケルトンで生前の攻撃がどこまで使えるかも分らんしな」


「ワン」


それがしは、己の剣を極めるのみ。わが道をさえぎるものはすべて斬る!」


「だがよ、スケルトンってのは、コアを砕かれちまうとお終いだろ。

爺さん、何か対策はねえのか」


「ある。

デス・リザードマンに進化するのじゃ」


「デス・リザードマンだと。ありゃあ、裏ボスだろ」


「あれは苦労したな。最初は五人ともボコボコにやられたぜ」


「どうやったら進化できるんだ」


「ブラックドラゴンの肉を喰らうだけじゃ。

そのうえで、ネクロマンサーの進化スキルを使ってもらえればデス・リザードマンに進化できるはずじゃ」


「なあ、その場合、初代勇者雄太郎さんはどうなるんだ?」


「それは…、やってみんと分らん」


「じゃあ、早速ブラックドラゴンを倒しに行こうぜ」


「まあ、まて。

ブラックドラゴン程度なら、飛空スキルを持っているお前たち勇者二人で倒せるじゃろう。

他のものは、この先にあったはずの大迷宮を復活させるのじゃ」


「大迷宮だと?

あのレベル上げに使った大迷宮か」


「そうだ。

どうやら、今は埋まってしまったらしい。

あの大迷宮を復活させて、そこに砦を築いて我らで大迷宮を独占するのじゃ」


「そいつはいいな。あそこはドロップ品も豊富だし、モンスターの質も高い。

聖魔法を使うやつがいなければ、アンデッドにとっちゃ天国みてえなもんだな」


「あ、あの、私はそんなこと…」


「お嬢は、砦で先代勇者と遊んでおればいい。

全部任せるのじゃ」


「「「おう!」」」




「お嬢のためだ」 ギーコ ギーコ♪


「砦を作るぞ」 ギーコ ギーコ♪


「お嬢のためだ」 ザック ザック♪


「迷宮を掘るぞ」 ザック ザック♪


ゾンビたちの変な節回しに、ついリズムをとってしまうダメな私…


こうして、砦が完成し、大迷宮も開通した。

毎日、進化を使っていたら、いつの間にか最大使用数が10に増えている。


私は、週に1回、雄太郎君先代勇者と町にドロップ品を売りに行き、生活必需品や武具を買い付ける。


当然、プリンセス・ルナのローブもこうして買ったものだ。


私にはというスキルが増えていた。

いうことを訊かないアンデッドを躾けるスキルなのだが、実は人間にも有効なのだ。


最初は、魔石商人に冗談半分で使ったのだが、その瞬間が1.5倍になった。

試しに、全部の商店で使ったところ、売値は2割から4割引きになっている。


雄太郎君をあれこれ詮索してくる人もいなくなったし、割と住みやすい街になった。




「ブラックドラゴン、狩ってきたぜ」


勇者二人が帰ってきた。

その夜は、みんなでドラゴン肉を焼いて食べたのだが、ほっぺたが落ちそうなくらい美味しかった。

とろけるくらい柔らかく、噛むと肉汁がじゅわっと口に広がる。

ところで、スケルトンの場合、食べた肉はどこにいくのだろうか、疑問である。


0時を超えたところで、そのまま10人をデス・リザードマンに進化させた。


デス・リザードマン・賢者マギ×1人


デス・リザードマン・勇者ブレイブ×2人


デス・リザードマン・騎士ナイト×4人


デス・リザードマン・サムライ×1人


デス・リザードマン・妖精王エルフキング×1人


デス・リザードマン・探索者サーチャー×1人


が新たなメンバーとなったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る