第2話、ナンバー2は帰らぬ人となった

「で、ボス、どうするんですか」


「何が?」


「さっきの魔王軍の話ですよ」


「いかないよ。怖いから」


「じゃ、人間側に?」


「それは無理じゃない」


「まさか、第三勢力!」


「なにそれ」


「いいですか、今、世界は魔王軍と人間軍がしのぎを削っている状態です」


「だよね」


「そのどちらにも与しない死人軍団を作るんですよね」


「やだ」


「何でですか。

兵隊は作り放題で、魔王軍対人間軍の全面戦争になれば、どんどん戦士が増えるんですよ」


「ゾンビは臭いからヤダ」


「だったら、肉の残っていそうもない、古いお墓をあたってみたらどうでしょう」


「古いお墓?」


「100年以上前なら、骨だけになってますよ。

ナントカの賢者とか、剣神とかのお墓から呼び起せば、いきなりスケルトンですよ」


「それ…、採用。

じゃあ、そういうお墓探してきて」


「そろそろ夜が明けますので、明日の夜になったら探索に出しましょう」


「うん、じゃおやすみ…って、ゾンビたちはどこで寝るの」


「今、穴を掘ってます。

さっき掘ってたやつは崩されちゃいましたからね」


「私の近くでは寝ないようにいっておいてね」


「はい。そうしときます」


こうして、私は夜型人間になっていくのであった。


「それで、お前たちは?」


「へえ、俺らスケルトンは太陽の下でも平気ですし、寝る必要もないので、見張りしときます」


「りょーかい。よろしくね」


zzz


「なあ、ホントにどうするんだ」


「俺らじゃ、考えてもろくな案はでねえよ」


「やっぱ、頭のいいやつを仲間にするしかねえか」


「そうだな、立派そうな墓を片っ端からあたってみるか」


「まてよ、俺ら昼間も歩けんだから、外套かなんかひっかけりゃあいけるんじゃねえか」


「よし、ナンバー2、お前が先発だ!」


「何で俺がナンバー2なんだよ」


「ボスに最初に声をかけたのは俺だ。当然ナンバー1だよな。

だから、二人のどっちかがナンバー2でどっちかはナンバー3だ。

どっちがいい」


「わかった。俺がナンバー2でお前はナンバー3だ。よし、行ってくる」


「フードをかぶるの忘れんなよ」


「わかってる」




「それで頭に1とか3とか書いたのね。

で、ナンバー2はどうなったの」


「帰ってきませんでした」


「討伐されちゃったのね」


「たぶん…」


「はぁ、しょうがないわね。

今後は勝手な行動はしないこと」


「「わかりやした」」


「じゃあ、今日進化させる3体は出てきて…

『進化!』」


「私が町に行って、墓地とか有名な人のお墓を聞いて来るから、あなたたちは魔石の収集に励んでちょうだい」


「「「わかりやした」」」




「えっ、墓地?

墓地なら教会の裏にあるわよ」


「そうでしたか、あと、有名な人のお墓って知ってますか」


「それなら、中央公園だね。

あそこは初代勇者の墓があるんだよ」


「ゆ、勇者様のお墓があるんですか!」


「ああ、歴代の勇者パーティーは城の裏に埋葬されてるけど、初代様だけは別格なんだってさ」


「あ、ありがとうございます」




「ここだ、ここだ。コンコン、勇者様~」


「ワン」


「えっ?」


「ワンワン」


「まさか、初代勇者って…犬だったの…

ダメだ、私の力じゃ蓋が動かない…

あとでみんなでこようっと」


トボトボ


「それにしても、初代勇者が犬だったなんて、みんな驚くだろうな」



「んなわけないです」


「だって、実際に犬の声がするんだよ」


「例えば、遺体を回収できなくて、愛犬の骨を入れたとかの事情があるんすよ」


「それで、お墓作ったら詐欺だよ!」

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