最悪なジョブを引いた私 魔王軍の勧誘を断り一人で生きていこうと誓った

モモん

プロローグ

「職業:勇者。次」


ぽかん ゲロゲロ コロン


「職業:死人使いネクロマンサー。次」


私は頭の中が真っ白になった。

今出たばかりのジョブ玉と呼ばれる黄色い球をじっと見つめた。

そこには、まぎれもなく『死人使いネクロマンサー』と書かれていた。


10年に一人と言われる勇者の後に、100年に一人の死人使いはないでしょ…


「へえ、すっごいレアな職業じゃない」


「やめて、そうだジョブを交換しよ!」


「やーだよ。私、オバケとか嫌いだもん」


パクッ キラキラーン♪


この世界では、12歳になった年に、ミ・カエル様よりご神託を授かる。

それが今の儀式だ。

神の使いとされるミ・カエル様の頭を叩くと、ジョブ玉と呼ばれる球を吐き出す。

それを飲み込むことで、魂がジョブに対応するのだ。


現に、今勇者のジョブ玉を飲み込んだ親友のマリナは輝くオーラに包まれている。


「さあ、カンナも飲んじゃいなさいよ。スカウトストリートに出るわよ」


「うー…パクッ…ごくん」


ドヨドヨーン (V)o¥o(V)~♪


「な、なんか死にたくなってきた…」


「か、カンナ…、顔色悪いよ。大丈夫…」


「だ、大丈夫じゃないかも…」




「おおっ、次は勇者だぞ!」


教会の出口は、大勢のスカウトが待ち受ける通称「スカウトロード」に続いている。


「一緒のやつは…、まさか…」


「ああ、あの禍々しいオーラは間違いないだろう」


「に、人間の敵か…」


スカウトロードは出た瞬間に二つの道に分かれる。

聖のオーラをまとった通称:栄光ロードと邪のオーラをまとった通称:地獄ロード。


「カンナ、ここでお別れね。いままでありがとう」


「うん、マリナ、じゃあね…」


…トボトボ…


「うおー!なんという歪なオーラだ!」


「こ、これは、次期魔王候補!」


「いや、次期悪魔王こそ相応しい!」


「これほどなら、バンパイア王国でも通用しますぞ!」


…トボトボ…


強引な勧誘は禁止されている。

自分が気に入ったところを選ぶのだ。


…トボトボ……トボトボ……トボトボ…


「わーっ」


私は泣きながら走った。

どこにも立ち寄らず、一刻も早くこの場を立ち去りたかった。


気が付いたとき、雨が降っており目の前には洞窟。

私は洞窟の中に蹲り眠りに落ちた。

孤児の私は、今日施設を出された。

もう、行くところはないのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る