実在する『沈み鳥居』にまつわる悲しくも美しい禁断の愛の神話

この物語の舞台となっている『沈み鳥居』は、ググれば神秘的な写真が沢山出てくる実在する名所。ニュースでそれを見た作者さんがインスパイアされて書いたというこの渾身の作品は、本当にある神話のように感じてしまう。
鏡面のような池の中に咲き誇る睡蓮の花はなぜ深緋《こきあけ》色をしているのか?

神、鬼、妖怪、人間たちの交わりの中で、愛してはいけないものを愛する事は罪であり、辛い事であり、決してハッピーエンドにはならないかもしれない。
タグにはサッドエンドとあるけれど、そのエンディングの捉え方は読者それぞれだと思います。
私はその悲しみ以上に気高く清らかなものを感じさせられました。

登場人物達の健気さ、純粋さ、容姿の美しさ、そして少し古風な美しい文体の心地良さに、読者はグイグイと引き込まれていく事でしょう。

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