皆が皆のためにできる事

 前世の記憶を持ってしまった主人公と、その前世に関わりのある血を引くヒロインとが繰り広げる物語は、私の中に深く残りました。

 もう何作も、ayaneさんの物語を読んで来ましたが、やはりこの物語を読む上でも、感じるのは「人の優しさ」です。

 自分語りをレビュー上でしてしまうのも失礼な話かも知れませんが、私は人間の行動は2種類だと思っています。良い行動と悪い行動…ではなく、自分のための行動か、他人のための行動か。自分のための行動は悪い行動で、他人のための行動は良い行動かという話でもないです。

 この物語に易しさを感じるのは、この物語の登場人物は自分の周りにいる人達の笑顔を見る事、皆が幸せである事が大好きなのだという点です。

 それが行動原理にあり、それは他人のための行動と自分のための行動がイコールで結べるのだと気付かされます。

 だから優しいと思ったのです。

 その優しさは、甘さも伴ってしまっているとも思うのですが、それこそが高校生らしい、また誰もが高校時代に――多くの人が過ごす青春時代に持ちたかった優しさではないでしょうか?

 それを書ける作家・ayaneさん、いつも凄い方です。

その他のおすすめレビュー

玉椿 沢さんの他のおすすめレビュー258