運命の車輪とシンクロニシティが紡ぐ切ない恋物語。

これはただの幻視なのか、それとも意味のある記憶なのか――。

男子大学生・明日香涼には、不思議な光景が頭の中に突如として浮かぶという経験を幼い頃からしています。強烈な光、痛み、人のざわめき――。これは一体なんなのか? まずはその点でグイっと読者を惹きつけることに間違いはないでしょう。

そんな中、一つの紙飛行機が女子高生の希と涼を惹きつけます。

涼と希、そして二人を取り巻く人々の関係の中、やがて明かされてゆく真実。ここで深く語ることは憚られますが、それは切なくも悲しい過去に関するものでした。

縦横に織り重ねられた人間関係や時系列が、紙飛行機や「記憶」、そして巧みな伏線などによって回収され、一つの物語に収斂されてゆく構成はまさに秀逸。

自分は一体なんのために生まれたのか?

誰と出会うべくして生まれたのか?

そして、これからも生き続けられることができるのか?

主人公だけではない、副主人公的な二人の恋物語に触れたとき、胸の奥がきゅっと締まるような切なさと、人を想う気持ちの一途さと時空を超えた出会いに感動し、主人公が迎える運命にハラハラすることでしょう。

目に見えない運命の糸で結ばれた人たちの恋物語――ぜひお手に取ってみてください。

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