冥い森(くらいもり)

榛野(ハリノ)

オープニング

それは一冊の、なんの変哲もない大学ノートだ。

色褪せたそのノートと一緒に手渡されたのは、奇妙な言葉。


「この色褪せたノートは、過去と現在をつなぐ運命という名の扉となるだろう」


芝居がかった言葉だ。

ともすれば笑い飛ばされてしまうような、そんな言葉だ。


だが、笑い飛ばされることはなく、それは予言のように引き渡される。

一冊の、色褪せたノートに寄り添うように。


そして、再び動き始める運命の後を追って、列車はその町へ到着した。

山のふもと、まだ緑が色濃く残る、そのふるびた小さな町へ。

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