アングラ上等! 愛ってやつは不可視でもどこにだって芽吹く

最初にハッキリと言っておこう。

俺はドラッグが大嫌いだ。

ニューヨークにいた頃、ポット(マリファナ)パーティに誘われたり、アシッドが欲しけりゃ俺を呼べと言われたり、スマック(ヘロイン)常用者特有の顔面の吹き出物を見ては、「絶対に手を出さない」と心に誓っていた。
大学でタバコを吸っていたら、ポット常用者が「タバコなんて身体に悪いからやめなよ!」と言われて呆然とした。

しかし、それはあくまでリアルでの話。
フィクションの題材として丁寧に扱われるのなら、構わない。なぜならドラッグは世代や地域によっては「生活の一部」として描写すべきものになっていることが多々あるからだ。

前置きが長くなったが、本作を読み始めたとき、筆者はロンドンに居住していたか、もしくは滞在経験があるのだろうと思った。しかしコメントにて、地図やアプリを使って情景描写をイメージしていると伺い驚いた。
自分が実際に見たものしか空想では上手く描写できない私からすると、本作の具体的な地名、ストリート名から成る描写は具体的かつ説得力があり、要するに羨望の嵐。

特にスクアット・パーティの描写は秀逸で、知識としてしか知らない『レイヴ』を勝手に想像してしまった。

また、これは余談だが、俺はパンクスである。パンクスの元祖はロンドンだセックス・ピストルズだという認識が根深いが、実はニューヨークの方が先なんですよ(敬語)。

最後に、本作は青春小説であると同時にダーティで泥臭い、しかし輝かしい恋愛小説である、という太鼓判を押して脱兎。

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